阪神・青柳晃洋にとっての〝ベストフレンド〟 帰国のビーズリーお見送りも不思議ではなかったワケ
【球界ここだけの話】それは友情の固さを垣間見た瞬間だった。記者は10月16日に甲子園から関西国際空港へ大移動。阪神・ジェレミー・ビーズリー投手(28)の米国への帰国取材のためだった。空港に到着し、辺りを見回しても報道関係者はまだ来ていない。だが、視線の先に見えたのは思いもよらぬ見慣れた男性。阪神・青柳晃洋投手(30)が見送りに来ていたのだ。「午前中に甲子園で取材したのに!?」。右腕は車を飛ばして駆け付けていた。 【写真】談笑するビーズリーと青柳晃洋 「僕の予定がなければ(行こう)と思っていて、来られる時間だったので。ファームでも1軍でもよく一緒にいましたし、いい選手。よき友達になれたなあと思っています」 わざわざ手を振りに訪れたのも、驚きはあっても不思議なことではなかった。シーズン中の練習でも2人が仲むつまじく会話していたのはよく見た光景だったからだ。野球談議に花を咲かせるのはもちろんのこと、青柳にとっては〝英語教師〟でもあった。 9月に話を聞いたときには「きょう話していたのは『a lot of』と『many』の使い分けの話。同じ『たくさんの~』という意味でも、どっちがどうなのか分からなくて…」とその違いが気になり、尋ねたのだという。野球でいえば安打をたくさん打った側が『a lot of』、打たれた側なら『many』を使うことが多いとのこと。だが「たぶん正解はなく、どっちも使えるみたい。住む地方とか、みんながよく使う言語による感じ」。本場で暮らしてきた〝先生〟に疑問をぶつけ、多くの学びを得ていた。 言葉の壁を取っ払って友好な関係を育もうと取り組む青柳の姿勢には、異国の地で結果を求めるビーズリーも感謝していた。 「日本人はシャイだったり口数が少なかったり、英語を話すことに奥手になったりしてしまう人が多い中でも、自分にオープンな気持ちで接してくれる選手がいるのはうれしいよ」 来季の残留には前向きな言葉を残し、笑顔で保安検査場へと消えていった。V奪回に向け、再び同じチームで同じ目標に向かって戦えることは望むところだろう。ただ、青柳はどんな未来でも明るく受け止めるつもりだ。 「一緒にできたらいいですけど、(プレー先を)選ぶのは彼だと思います。野球さえやっていれば、またどこかで会うこともありますから」
2人は互いを認め合う〝ベストフレンド〟。どこにいても、リスペクトの思いは同じ空の下でつながっている。(須藤佳裕)