サヨナラ弾を放ち雄たけびをあげるフリーマン（AP）

◇25日（日本時間26日）　MLBワールドシリーズ第1戦　ドジャース6―3ヤンキース（ロサンゼルス） ◆劇弾だ！フリーマン、延長10回に逆転サヨナラ満塁ホームラン！【動画】 　ドジャースのベッツは盟友フリーマンの劇的な逆転サヨナラ満塁弾に、感慨深げに語った。「彼が今年、経験したことを考えれば、特別だ」。 　フリーマンにとっては苦難の1年だった。7月下旬、三男・マックス君が神経障害の一種で難病の「ギラン・バレー症候群」を発症。チームを緊急離脱した。一時、集中治療室に入った。全身まひを起こし人工呼吸器をつけたが、病状は回復。8月5日復帰した時には、「ドジャースファンは嫌だろうけど、あんな光景をもう一度見るくらいなら、ワールドシリーズ第7戦の9回裏満塁の場面で3億回連続で三振したほうがいい」と号泣した。 　フリーマンの試練は続いた。8月中旬には打球をさばいた際に右手中指を亀裂骨折。それでも戦列を離れなかった。さらに追い打ちをかけるように、ポストシーズンに入ろうかというシーズン終了直前に右足首を捻挫。通常なら復帰まで1カ月近くかかるが、まともに走れない状態で、プレーを続けている。 　リーグ優勝決定シリーズ第5戦は患部の状態が悪く、欠場。だが、4日空いたことで回復し、なんとかワールドシリーズ出場にこぎつけた。盟友のベッツは「彼が文句を言っていることを見たことがない。常にファイターで、黙々と準備する姿は・・・。これほど素晴らしい人間はいない」。 　試合後、スタンドの「フレディ」コールは息子の急病から復帰した8月5日の試合の時と同じように鳴りやまなかった。ただ、主役は涙ではなく、笑みをこぼして言った。「今35歳で、15年、メジャーでプレーしているが、ずっとこの瞬間を夢見てきたんだ」。　（阿部太郎）