「中国好きには懐かしい、知らない人には驚き」日本人監督の映画『再会長江』が描くメディアが伝えない中国
「メディアは中国の悪口ばかり」
今や中国でカメラを回すことには様々な制約があるが、多くの現場で撮影の交渉を行い、「本当に死にそうになった」(竹内氏)という時でもカメラを回し続け、上映にこぎつけた制作サイドの努力と苦労にも敬意を表する次第である。「中国好きには懐かしい、知らない人には驚き」(竹内氏)との評価があるこの映画は日本でも9月頃まで上映されるそうだ。 竹内氏は取材に対し「日本の人は中国のマイナスの報道しか知らない。メディアは中国の悪口ばかり言う。自分はそうでない中国を伝えたかった」と答えた。指摘されるだろうと思っていた点であり、耳に痛い話でもあった。 そこには政治と国民がかけ離れている中国の現実がある。イベントの前日は天安門事件から35年の日で、当局は例年通り海外メディアの動向に神経を尖らせていた。国の安定を図るために警戒態勢を敷いた6月4日と、中国人の実直さや温かさに触れた翌5日。この2日間で全く違う中国の顔を目の当たりにして、中国を理解すること、伝えることの難しさを改めて知ることになった。
山崎文博