トヨタの役員選任案は正しいか? 豊田章男氏の後継について社外取締役が考えるべきこと《6月18日株主総会》
社外役員の動きはなぜ先鋭化しない
トヨタ自動車の株主総会は、まもなく6月18日に愛知県豊田市の本社で開かれる。それを前にして、3月21日、トヨタは「社外役員の独立性判断に関する基準」と「株主総会後の取締役・監査役体制』を発表した。 【写真】再逮捕された「美人すぎる寝屋川市議」の写真集全カット コーポレートガバナンスに関心のある立場として、殊にトヨタの独立社外取締役について発言した身としては、関心を持たないでいられない。中身はどうか? 期待外れだった。 しかし、と思う。株価は1年間で2.1倍に上昇している。時価総額も61.87兆円になったと報じられている。素晴らしいのひとことに尽きるだろう。これほどの巨艦が株価を2倍にしたのは、その間の日経平均が1.4倍になっているというだけでは説明がつかない。トヨタの経営が投資家に評価されているということを示しているだろう。では、ダイハツ、豊田自動織機、そして日野自動車の不祥事は、いったい何だったのかということになる。 そのうえ、最近ではEVで遅れをとっていると批判されていたのが、いや、多方面を睨んだ方針が正しかったと高い評価を受けてもいる。 私は今回の一連のトヨタグループの不祥事に関して、独立社外取締役の問題を指摘した。週刊文春がその問題を取り上げたことも前回書いている。 だが、その後、トヨタグループで独立社外取締役や社外監査役の動きが先鋭化したという話を聞かない。おそらく取締役会は、菅原郁郎氏がいう「取締役会で異論を言うのは僕くらい。だから、場が凍ります。執行役員が『会長の了解済み』という案件でも、僕は『おかしい』と言う。章男さんは『その通りだね』と受け止めることもあれば、意に沿わない時は『あなた、クルマ屋じゃないから本当にわかってない』と言われることも。是々非々です」(文春記事より)という状況から変わっていないのだろうと想像する。 トヨタは見直し理由としてこう言う。 《当社は「トヨタフィロソフィー」をベースとした持続的成長や中長期的な企業価値向上、社会課題の解決に向け、コーポレートガバナンスの強化に取り組んでいます。社外役員が独立した立場から意思決定に参画していることを明確にし、より一層多様なステークホルダーの意見を経営に反映するため、当社独自の社外役員の役割・期待を明確にし、独立性判断基準を再定義いたしました。》