川の特徴を知って水害から身を守るシリーズ。今回は東京や神奈川を流れる「鶴見川」です。かつて氾濫を繰り返し「暴れ川」と呼ばれていましたが、ここ最近は大きな被害が出ていません。その対策とは？ 東京の町田市から神奈川の横浜市、川崎市にかけて流れる全長およそ40キロの「鶴見川」。かつて「暴れ川」と呼ばれたこの川の下流域では、急速に都市化が進みました。流域人口密度は全国1位となっています。 国交省京浜河川事務所・小川浩副所長「被害が出ることが考えられるので、心配な川の一つではあると思っています」 氾濫すれば、身長を超える高さまで水が押し寄せる危険がありますが、国は川幅を広げ、堤防や護岸を整備したほか、川底を削って、多くの水を流せるよう対策を行ってきました。 そんな鶴見川の水害対策の切り札が、新横浜駅近くに2003年に完成した鶴見川多目的遊水地です。 国交省京浜河川事務所・小川浩副所長「こちらが鶴見川になっています。こちらの鶴見川の水位が上がると、向こう側に水が流れ込む仕組みになっています」 普段は散策やスポーツを楽しむ市民憩いの場ですが、洪水の時は東京ドームおよそ3杯分もの水をため込むスペースになります。 記録的な大雨となった2019年の台風19号でも、鶴見川の水を一時的にため、鶴見川下流の水位を下げる効果があったといいます。 さらに、洪水対策は流域全体でも…。住宅地の真ん中にある調整池です。雨を一時的にため、天気が回復した後に、ゆっくり流すことで、鶴見川の水位上昇を防ぐ役割を果たしています。 国交省京浜河川事務所・小川浩副所長「（川の）周囲がコンクリートやアスファルトで囲まれていて、水が速く川に入ってきて、水位が上がりやすい。早めに（避難）行動を取ってもらうことが重要」