23年ぶり11連勝の西武はV戦線に割り込めるのか
西武ー楽天の14回戦が2日、メットライフドームで行われ、西武が7-4で逆転勝利、1994年以来となる23年ぶりの11連勝を果たした。西武は1点を先行されたが、楽天のバッテリーミスにつけこんで機動力で勝ち越すと、山川穂高の3打席連続ホームランなどで首位の楽天を圧倒した。楽天の先発、則本昂大は、対西武に今季0勝2敗となった。パ・リーグで最も勢いのある西武は、楽天とソフトバンクのマッチレースだったパの優勝争いに割り込めるのだろうか。 則本が右手を振り自分自身への怒りをあらわにした。 3回だった。二死一、二塁から「真っ直ぐだけに振り負けないようにした」というルーキーの源田がインハイのストレートにバットを上からかぶせた。 ジャストミート。ライト前への同点タイムリーで1-1になると、則本の心理に動揺が生まれる。続く浅村にぶつけて、満塁にチャンスが広がった。おかわり君は則本の変化球にまったくタイミングが合っていなかったが、カウント2-2から則本のフォークがホームベースを超えた付近ではねた。嶋は、瞬間、ミットを返したが、バウンドが大きく、体に当てて後逸。おまけにボールを見失う。三塁走者の金子が勝ち越しホームを駆け抜けると、処理に戸惑っている隙をつき、二塁走者のルーキー、源田までがホームインしたのだ。 「馬場コーチが腕を回していたので無我夢中で走りました」 これぞ、相手の隙を見逃さぬ速攻。辻監督が「打つだけが得点の技ではないですから」と、振り返る西武野球の真骨頂である。 「金子と源田ですから。あの2人が準備をしていた。フォークでワンバウンド。狙っているところですからね。好走塁というより、彼らの足からすればしてやったりの思い切りと判断力ですね」 辻監督は、このプレーの解説を続けた。 緻密さと豪快さと。 4回一死から山川がレフトスタンドの中段まで届く特大の5号ソロ。「切れるな!」。その願いは届く。山川は6回にも則本から2打席連続となる6号2ランをバックスクリーンにまで運んだ。 「今年イチ、感触が良かった。ああいう打ち方、打球を続けられたら、もっと試合に出れるかな」 これで4点差となったが、牧田がウィーラーに24号ソロ、島内にも10号ソロを浴び、ゲームはわからなくなってきた。辻監督が、「牧田が本塁打で2点を取られて苦しかった。あの3本目は勝負を左右した」と、振り返る8回に、三度目の山川である。外のボールをレフトスタンドへ引っ張った。「行け!」。山川は叫びながら走っていたという。ルーキーイヤーにファームでは経験があるというが、もちろん1軍ではプロ初の3打席連続ホームラン。「奇跡です」。山川は、そう本音で語った。 日本タイ記録となる4打席連続ホームランへの夢は、今日3日の楽天戦の第1打席へとつなげた。過去に13人しか成し遂げていない大記録である(1試合での4打席連発は王貞治氏とN.ウィルソンの2人)。 だが、山川は「無理です」とひとこと。場内を笑わせ、インタビューアーが、場内をあおると「やめてください」と腰を引いていた。おかわり2世と呼ばれて4年目のシーズン。打率は.234と低いが、チームの勢いに乗ってブレイクの予感がしてきた。