「不登校は悪いことじゃない」発信 大学生らがネットラジオ番組、専門家の寄り添い方のヒントも
不登校の子の家族らに向けて、滋賀県内のフリースクールや当事者らの気持ちなどの話題を届ける「学校行かないカモラジオ」が4月からネット上で配信されている。大学生の井ノ口環(いのくちたまき)さん(22)がインタビュアーとなり、「不登校は悪いことじゃない」などのメッセージを伝えている。支える側の大人に「ゆっくりと、ゆるく学んでほしい」としている。 【漫画】男性上司「セで始まってスで終わるものなーんだ?」 バイト仲間女性の模範解答に「カッコ良すぎるだろ」 「不登校の半径2メートルを旅するラジオ」として、学校に行きづらい子本人よりも、その親や家族、先生、地域の人らをターゲットとする。「家族などの不理解が、本人を傷つける場合が多い」からという。各月ごとに専門家らを迎え、月4回、月曜晩に20分前後の番組を配信する。 進行役の聞き手は、大津市出身で同志社女子大生活科学部4年生の井ノ口さん。番組は、環境学習やフリースクールの支援などに取り組むNPO法人「碧(あお)いびわ湖」(近江八幡市安土町下豊浦)が企画した。 4月のゲスト(2~5回目配信)は、不登校の子の居場所を紹介する冊子づくりに取り組む「おうみ子ども・若者未来のタネプロジェクト」代表で、社会福祉士の伊藤いつかさん(42)=同市。スクールソーシャルワーカーや小学校教員として支援に携わり、長男の不登校をも経験した。 引っ越しに伴う転校で長男が学校へ行きづらくなった体験などから「不登校は精神的な重圧から、精神疾患につながりやすい」と指摘。子の心と身体の健康を家庭や地域で支えていくのが理想であるとして「不登校の状態の奥で、子どもが何を心の中で叫んでいるかを探してあげてほしい。不登校を問題視せず、要因を考えてほしい」と助言する。 ほかには、日野町の「日野里山フリースクール」、彦根市の「フリースクールてだのふあ」の暮らしぶりを紹介。不登校経験者の女性へのインタビューでは、自身の強迫性障害や完璧主義との向き合い方などを尋ねている。8月分は栗東市教育委に、中学校内に不登校の生徒向けの部屋「ハーバールーム」を設けた狙いを聞いている。 「不登校は時に命に関わる問題」である一方、「不登校は単なる状態に過ぎず、悪いことじゃない」。「子どもには、幸せな学びを得る権利がある」。子どもや家庭により状況はさまざまだが、専門家が多角的に寄り添い方のヒントを語る。 井ノ口さんは「学校に行きづらい子が支援を受けることが、当然な権利だということが早く常識になってほしい」と語る。 大人の側に、時代に即した不登校への理解が求められているとして「不登校と言うと『治さなきゃ』みたいな暗いイメージがあるけど、本当は違う。大人こそ学ぶことがたくさんあり、不登校には、社会の希望につながるポジティブな要素がある」と力を込める。 動画サイトユーチューブ、音声配信サービスのスポティファイ、ポッドキャストで配信している。 (まいどなニュース/京都新聞)
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