GDPでドイツに抜かれ、インドが抜くかもしれないといわれるが、気にする必要はない
日経平均が15年で5倍以上になった!
「ドイツが抜いた!」、「インドが抜くかもしれない」という「騒ぎ」が起こるのは、日本人が自分の国に対して自信を持っていない証拠だとも言える。 確かに1990年頃のバブル崩壊以来、日本経済が厳しい環境にあったのは事実だ。だが、それは「何と比べて」のものであったのだろうか? よくバブル崩壊直前の数字と比較して「日本はこんなに悪くなった」と論評する事例を見かけてきた。しかし、「バブル」が異常であったのであり、その「異常」な数値と比較することに意味を見いだせない。 3月1日公開「日米ともに株価史上最高値、でも日経平均がダウ平均を上回ったことの方が重要」で述べたように、日経平均のバブル期最高値を超えるのに34年もかかった。しかし、そのことは、バブルが日本の34年分の成長を先取りしたことを意味すると考える。 「将来の成長を担保に多額の借金を抱えた」が、34年間の地道な努力によって「全額返済」したということである。つまり、「借金」が無くなって身軽になった日本は、これから目覚ましい成長を遂げる潜在能力があるといえる。 一例をあげれば、2009年3月10日の日経平均バブル後最安値7054円98銭(終値)から現在の4万円近辺まで、なんと5~6倍にも上昇している。しかも、現在でも、東京株式市場には、5大総合商社を「まとめ買い」した投資の神様バフェットが新たな投資を検討するほど、魅力的(割安)な企業があふれているのだ。 このような素晴らしい「追い風」でさえ後ろ向きにとらえる、「日本悲観論」が日本の「沈滞ムード」の大きな原因であると考える。
「長所進展法」が日本発展のカギ
もちろん、近隣の国々を始めとする多くの国々の人々と違って、日本人は「他人を非難(攻撃)するよりも、自らの問題点を探し出し反省・改善することを優先」する民族である。だからこそ、2021年2月28日公開「1400年の歴史、世界最古の会社が日本に存在している…!」のような歴史を紡ぐことができたのだ。だが、その「自己反省」もやりすぎると弊害になる。 例えば、「ほめて育てろ!」ということがよく言われる。実際「お前はダメだ!」と言われ続けて育った子供は自信を失い、本当に駄目になってしまう。 逆に、2021年1月25日公開「企業競争力の源泉=個々の従業員の長所は後からいくらでもで伸ばせる」5ページ目「長所進展法が最良戦略か?」で述べたように、「長所を伸ばす」ことが(個人の)人生成功の秘訣である。同様に国家においても、「長所を研ぎ澄ませる『長所進展法』」は有効だ。 ---------- そして「日本が抜かれる」と、現在、日本ダメ論のネタに使われているドイツとインド経済の実情を「これで日本を上回る? 実はボロボロ・ドイツ経済、いつまでも期待先行のインド経済」で見てみよう。日本悲観論があまり意味のないことがわかろう。 ----------
大原 浩(国際投資アナリスト)