「GACKTがまた勝つのか」お正月恒例『芸能人格付けチェック!』は世代を超えて盛り上がれる地上波ラストの家族団らん番組かも
独身、フリーランス。世間から「大丈夫?」と思われがちな40代の小林久乃さんが綴る「雑」で「脱力」系のゆるーいコラム。読んでいるうちに、心も気持ちも楽に軽くなる……。ただ「手抜き」のテクニックを勧めるだけではなく、年齢を重ねたことで得た「脱力」による省エネによって、次へのエネルギーを担保していこう! というのが、本企画の主旨。第11回は「“芸能人格付けチェック!”は地上波ラストの家族団らん番組かも」です。 * * * * * * * ◆なぜ老若男女が夢中に? 毎年、正月になると実家の両親が『芸能人格付けチェック!(以下『格付けチェック』略)』(ABC、テレビ朝日系)を楽しみにしている。録画予約をして、少しずつ見るのが、年初の恒例の行事らしい。 「GACKTがまた勝つのかねえ、って気になっちゃうのよねえ」 と、我が母談。聞けば両親だけではなく、彼らと同年代の高齢者友達もこぞって番組を楽しんでいるとも言う。 今や日本国民の多くが知る大人気番組で、1999年の番組開始から続く、ご長寿番組でもある『格付けチェック』。実は私、見たことがなかった。あちこちの媒体で大好きなテレビドラマに関するコラム執筆はしているけれど、バラエティー番組にはどうも興味がわかない。お笑い分野に関しては、また別に専門の方や熱血ファンも多いので、私にとっては専門外というところ。 それでも高齢者までも巻き込んで、熱狂させている番組は今さらながら気になる。日々、新しいことを試みるのが、私の今年のテーマ。食わず嫌いをやめてみようと、TVerの配信を使って、番組を初視聴。そこにはどこかノスタルジックで、かつての昭和のお茶の間を思い起こすエンターテイメントがあった。
◆令和の“クイズ100人に聞きました” ここからは『格付けチェック』について、ビギナーの私が感じたことをつらつらと並べていく。「わかるう~!」と共感していただけたなら、おばさん、これ幸い。 今さらながら番組についてざっくり説明すると、年イチのスペシャル番組にプロモーション絡みの多くの芸能人が20名近く出演。チームごとに一名が選出されて、目の前に出されたアイテム(例:ワイン、寿司、オーケストラ、プロダンス)の、どれが本物なのかを見極めて、2択もしくは3択から選んで勝ち残る。ルールはいたって簡単な、約4時間の長尺バラエティーだ。「セレブな芸能人なら、値段が高いほうは目をつぶっていてもわかるでしょう~~?」という、回答者にとっては足元を見られるような雰囲気が面白い。 まず気づいたのは、“視聴者も回答者の擬似体験ができる”。試飲や試食があるものは別として、音楽やダンスなどは視聴者にも、架空の回答権が付与される。ここで皆は真剣に考えて「俺はAだな」と、正月に揃った家族の前で自分の答えを披露。うっかり正解すれば、鬼の首を取ったように「やっぱりな! そう思ったんだよ」と自慢。時には回答が視聴者だけに先に開示されるものもあって、そうなると自慢はさらに加速。 今年を例に挙げると、一緒に番組を見てもらった女友達は 「林遣都、ダメだな~。大島優子も呆れているんじゃない?」 と、回答者の家庭にまで突っ込む盛り上がりを見せていた。ちなみに我が父は番組録画を見ながら、飲んでもないワインを「ありゃ、まずいと思ったよ」とコメントしていたこともある。 (はて、この雰囲気どこかで……?) と、思い浮かんだのは『クイズ100人に聞きました』(TBS系・1987年)だった。昭和生まれの平成育ちであれば、知っているはずだ。毎週月曜19時になると、家族揃って夢中になっていたクイズ番組。一般人100人に聞いたアンケート結果を、2チームに分かれた著名人回答者によって予想する。 回答が出るまでに観覧席から叫ばれる、「あるある!」「ないない!」コール。放送当時、小学生だった私もテレビの前で必死にコールしていた。そして間違えたチームに「何やってんのよ~」と突っ込む。この構図、『格付けチェック』になんだか似ているじゃないか。