バレンシア対レアル・マドリー戦で起きた珍事。アンチェロッティ監督「前代未聞」
バレンシア対レアル・マドリーで終了の笛によって決勝ゴールが認められない、という珍プレーがあった。
ブラヒムのセンタリングにベリンガムが飛び込み、ネットを揺らす。歓喜のレアル・マドリー、悔しがるバレンシア。劇的な瞬間……と思ったら、その前に終了のホイッスルが鳴っていた。ビデオを見ると、ブラヒムが蹴った瞬間に「ピッ」、ベリンガムのヘディングの瞬間に「ピッ」、ゴールに飛び込んだ瞬間に「ピー」というタイミングだった。最初のピッで終了扱いなので、その後のプレーはすべて無効。当然、ゴールも無効である。
なぜ、このタイミングで終了だったのか? すでにアディショナルタイムを費やした、と審判を判断したからだ。
とはいえ、あまりに間が悪かった。
CKの流れからのプレーだったが、審判はCK前に「これがラストプレーだから」と選手たちに警告している。CKが蹴られる→GKのクリア→こぼれ球を拾いブラヒムへ、という前段階があった。「これがラストプレー」なら、バレンシアがクリアした途端に終了の笛を吹くべきで、それならこれほど騒がれることはなかったはずだ。
だが、審判は笛を咥えるものの躊躇し、レアル・マドリーのチャンスになりそうなのを見て、慌てて吹いた。
躊躇したのは、区切り良く終わらせたかったからだろう。ボールがサイドラインを割るとか、大きなクリアなどで、いかにも“レアル・マドリーの攻撃が終了した感”のあるタイミングで終わらせたかった。が、クリアは小さくまごまごしているうちに再びセンタリングが上がっていたーー。
レアル・マドリーのアンチェロッティ監督は「前代未聞。プレーが切れてないのに」と左目の眉をいつも以上に吊り上げた。
ルール上、終了の笛は、審判の判断でいつでも吹くことができる。プレーが止まっていようが、プレー中であろうが。
昔バレンシアのクラウディオ・ロペスがバイエルン戦で、カウンターで独走しエリア内に入ろうとした瞬間に笛が鳴って終了、というのを見たことがある。CKやFKでもたついて蹴らないうちに笛が鳴る、ということは今でもたまに起きている。