大日本プロレスのデスマッチとストロング両王座を独占した神谷英慶 大日本の顔となった男の魅力
【柴田惣一のプロレス現在過去未来】
大日本プロレスの神谷英慶が、ストロングとデスマッチ両部門を同時制覇。史上初の偉業を成し遂げ「大日本の顔」となったヒーローが「すべてを受けて立つ!」と宣言した。 【動画】青木優也vs神谷英慶【BJW認定世界ストロングヘビー級選手権】前哨戦 これまで以上にマークは厳しく、風当りも強くなるが「他の人の思惑なんて気にしない。全部、自分次第」と、何とも頼もしい神谷流・王者のスタンスをぶち上げる。 10・14北海道・札幌大会でBJW認定世界ストロングヘビー級王者・青木優也から王座を奪取。すでに保持していたBJW認定デスマッチヘビー級ベルトと合わせて、大日本の2大タイトルを独占だ。 石川修司が両王座史に名を残しているが、同時戴冠の二冠王ではなかった。ストロング部門とデスマッチ部門は、それぞれ猛者が幅を利かせており、闘い方も違ってくる。一度に頂点をきわめるのは至難の業だ。 2012年にデビューした神谷はストロング部門で成長。16年に第8代ストロング王者となり、大日本のトップグループ入りした。その後、22年にデスマッチ部門に本格参入し、同年8月に第46代デスマッチ王座を獲得している。 大日本の所属選手はストロングとデスマッチのどちらかに専念する選手がほとんどだが、神谷は「どっちも僕はやる」と前例のない二刀流チャレンジを続けていた。 そして今回の第24代ストロング王座と第51代デスマッチ王座の二冠王である。「責任を感じるが、やるしかない。ゴーゴーゴーだぜ!」と得意の決め台詞を繰り返す。 実際にストロングの関本大介、青木優也ら、デスマッチの伊東竜二、アブドーラ小林ら、大日本のトップグループから完全に抜け出したのだ。大黒柱であり顔であり代表だ。 「周りの人たちがそう思ってくれるのか。まだ二冠王になったばかりだから…そう簡単ではないでしょう」と、自分の立ち位置を冷静に捉えている。 かといって「元々、周囲の目は気にしないタイプ。まっすぐに前を見て突き進むだけ」と、その視線は微塵の揺らぎもない。 それどころか、二冠王は神谷時代の始まりにしか過ぎない。大日本のタイトルすべて、そして他団体のタイトルも狙っていく。「大日本だけでなく日本プロレス界で突き抜けたい」と力強い。 大日本ブランドを日本プロレス界で高めるのはもちろん、世界を見据えている。キャリア12年の32歳。まさに脂が乗り始めたところ。伸びしろはまだまだある。 大食漢で知られている。ピザをパタパタと手際よくたたんでの一気食いなど、お手のもの。大好きな卵料理なら果てしなく食べ続けられる。 東京名物・亀谷万年堂の「ナボナ」大使を長年、務めているのも、その豪快な食べっぷりからだろう。 若手の頃は、わんぱくな印象があったが、食事会では「襟のついたものが正式だと聞いたので」と、きちんと襟付きシャツにスラックス姿であらわれるなど社会常識も身に着けており、参加者を感心させた。同席した他団体の先輩選手が「自分は半袖短パンで来てしまった。神谷くんの方がずっと大人だった」と頭をかいたこともある。 一歩一歩、着実に強くなって来た。自信も生まれた。キャリアを重ねて行くうちに元気な健康優良児が、いつの間にか頼もしい青年に成長した感じだ。 若手選手の退団が続き心配された大日本だが「それはもう過去の話。僕も団体も前しか向いてない」と大日本愛にあふれている。 得意技である、矢のような一直線の「魂の体当たり」と同じだ。「魂の体当たりは前を向いてしかできない技だから、僕そのもの。大切にしていきたい」とキッパリ。 登坂栄児社長も「今の神谷は心身ともに充実しており、大変頼りがいがある男」と絶賛する。体も頑丈、心も強靭。ストロングもデスマッチもドンと来い! 神谷英慶に大日本を任せて間違いない。 <写真提供:大日本プロレス>
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