神戸飛来「ベルーガ」3号機、ダナン経由で帰途に
神戸空港へ飛来したエアバスの大型輸送機A300-600ST「ベルーガST(Beluga ST)」の3号機(登録記号F-GSTC)が2月22日、帰途についた。ベトナムのダナンなどを経由し、仏トゥールーズへ向かうとみられる。 【写真】神戸空港で昨年5月に海保の大型ヘリを降ろすベルーガ ベルーガSTの日本への飛来は4回目で、神戸には9カ月ぶり3度目。日本へ22年ぶりに姿を現した2021年12月25日が神戸初飛来で、警察庁が発注した大型双発ヘリ「H225 スーパーピューマ」を1機運び、2回目は前回2023年5月10日で海上保安庁のH225を2機輸送した。 神戸にはエアバス・ヘリコプターズの格納庫などの施設があり、今回は大阪府警と神奈川県警向けの最新中型双発ヘリ「H160」2機を輸送したとみられる。H160はエアバスの最新ヘリで、初号機(登録記号JA01NH)はオールニッポンヘリコプター(ANH)へ2021年12月に引き渡され、NHKの報道ヘリとして運航されている(関連記事1)。 国土交通省航空局(JCAB)の航空機登録によると、大阪府警向けH160の登録記号はJA30PD、神奈川県警向けはJA24KPになるとみられる。登録記号は自動車のナンバープレートにあたるもので、2022年6月に予約登録されている(関連記事2)。 21日朝に神戸へ到着したベルーガSTは、午後7時15分ごろに神戸を出発し、関西空港へ午後8時7分ごろ到着。22日は午前8時すぎに関空を出発して、午前8時39分ごろ神戸へ到着。午後5時すぎに神戸を出発して、ベトナムのダナンへ向かい現地時間午後8時50分ごろ到着した。 前回2023年5月の復路は、神戸からダナン、インドのムンバイ、エジプトのシャルム・エル・シェイクを経てトゥールーズへ向かった。5月10日に神戸を出発し、トゥールーズ着は3日後の13日だった。大型ヘリを2機積んだ往路は、マルセイユから関空・神戸まで6都市を経て5日がかりだったが、空荷の復路は経由地が半分の3都市、4日間のフライトだった。今回も同様の経路になるとみられる。 ベルーガSTは、これまで欧州各地で製造されるエアバス機の翼や胴体などを工場間で運ぶ用途で使われてきたが、2020年1月に後継機A330-700L「ベルーガXL(Beluga XL)」が就航。エアバスは特大貨物輸送の新規事業「エアバス・ベルーガ・トランスポート(ABT: Airbus Beluga Transport)」を2022年1月に発表した。 ベルーガSTの設計寿命が5万回のフライトであるのに対し、全5機の平均が1万5000回程度と余裕があることから、ヘリや航空機用エンジン、人工衛星、船外実験装置、精密機器などの特大貨物を解体せずに運べる特徴を生かしたビジネスを立ち上げた。エアバス製のヘリが日本の官公庁や企業へ納入される場合、再びやってくることになりそうだ。
Tadayuki YOSHIKAWA