「涙のDeNAおじさんが周りにアイスを」「山川も甲斐も…」日本シリーズ全戦観戦で見た“下剋上の全て”…貯金42ホークスの異変が起きるまで
アイスを買って配る涙のおじさん、祈るファンも
1日置いて11月3日の第6戦、内野席には空席がちらほら見えた。日本シリーズは雨の場合、払い戻しはせず、順延になる。2日に観戦する予定だったファンが、3日は都合がつかないケースがあったのではないか。 DeNAの先発は第2戦で負け投手になった大貫、ソフトバンクは初戦勝ち投手の有原。昨年、有原は当時オリックスの山本由伸と4回投げ合い3勝1敗だった。立ち上がりに打ち込まれることがあっても、そこからしぶとく立ち直って粘り勝ちするケースが多い。 この試合で有原、ソフトバンクが勝って五分にすれば、形勢は一気に逆転すると思われたが、2回、先頭の筒香が中越えに本塁打。思えばこのシリーズ、筒香から試合が動いたケースが度々あった。今のDeNAはそれで終わらない。一死から戸柱が安打、森敬斗が二塁打、二死後このシリーズで当たりに当たっている桑原の2点タイムリーが出る。 小久保監督は次の3回に有原が押し出しで4点目を与えると、マウンドから降ろした。ただ尾形はまだしも、5回のスチュワートJr.の継投はハマらなかった。果たして5回にソフトバンクは決定的な7失点。4回表に柳田悠岐が30イニングぶりの得点となる2ランを放って反撃の機運が出た矢先だっただけに、シリーズ通じて小久保監督は「先発を見切る」タイミングが早かった、これが結果的に勝敗を分けた。 隣に座ったおじさんは、頬に涙を伝わらせながら、売り子のお姉さんから飲み物やアイスクリームを片っ端から買って周囲の人に配っている。9点の大差がついているのに、祈っているファンもいる。
球場に入れなかった親子連れに話を聞くと
ソフトバンクは反撃することなく、試合終了。11対2、今年のプロ野球が終わった。 シーズン貯金「2」のDeNAはポストシーズンだけで10勝4敗、貯金「6」の成績を残した。不振の牧や佐野恵太が復活するなど、試合を重ねるたびに調子を上げていった。 また正捕手・山本祐大の離脱を受けてマスクをかぶり続けた戸柱の攻守にわたる活躍は見事だった。山本の配球をもとに対策を立てていたソフトバンクは、戸柱になって当てが外れた、との見方もあった。 球場周辺には大群衆が集まった。親子連れに話を聞くと「第7戦のチケットを持っていたけど入れなかった。でも一緒に喜びたくて」とのこと。DeNAには本当に良いファンがいる。 地下鉄の電光表示もDeNAの優勝を祝福する中、いろんな感慨を浮かべつつ帰路に着いた。
(「酒の肴に野球の記録」広尾晃 = 文)
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