「涙のDeNAおじさんが周りにアイスを」「山川も甲斐も…」日本シリーズ全戦観戦で見た“下剋上の全て”…貯金42ホークスの異変が起きるまで
今年も筆者は、日本シリーズ全6戦を現地で観戦した。これほど空気が途中で変わったシリーズもなかったように思う。 【現地写真】「ち、チケットないのに…」ハマスタの外にあふれかえったDeNAファンの数がすごすぎ。桑原の神ダイブ、ビールかけでハシャギすぎ、謎の変顔ダンスも!? 【ベイスターズ日本一のカッコいい場面】全部見せます!
最初は“巨人がいるべきだよね”という空気だったが
福岡、みずほPayPayドームで試合が始まった当初、ホークスファンの中には「物足りなさ」のようなものを感じる人もいたようだ。〈やっぱ、ここには巨人がいるべきだよね〉的なニュアンスを口にする人がちらほらいたからだ。 思い起こせば4年前の2020年、新型コロナ禍によって2カ月遅れで始まったペナントレースは120試合に短縮された。クライマックス・シリーズ(CS)は、セ・リーグが実施せず優勝した巨人がそのまま日本シリーズに出場。パは2位ロッテとのCSを制したソフトバンクが進出。巨人の本拠地東京ドームでは都市対抗が行われていたため、巨人主催ゲームは京セラドームで行われるなど、異例ずくめだった。 ソフトバンクは5-1、13-2、4-0、4-1と巨人を全く寄せ付けることなく4タテで下した。PayPayドームは入場制限で半分の1万9679人しか入っていなかったが、原辰徳監督率いる巨人はなすすべもなく敗退した。ソフトバンクの強さがそれだけ際立っていた。 この時の巨人は2位阪神に7.5差をつけ、歴としたセ・リーグの勝者で、貯金は「22」。「31」の貯金があったソフトバンクには見劣りがするものの「王者ソフトバンクの対戦相手は巨人しかないでしょう」という感じだった。 ソフトバンクはそれ以来の日本シリーズ進出で、今季貯金「42」。2位日本ハムに13.5差をつけていた。対するセ・リーグ覇者・巨人の貯金は「18」。2位阪神に3.5差をつけてペナントレースを制した。 ところが巨人は、ペナントレース終了からCSファイナルまで2週間も空いたことが響き、3位から這い上がってきた貯金「2」のDeNAに2勝4敗(巨人のアドバンテージ1勝)と敗退した。
ホークス“順当な連勝”の陰で15連続アウト
こうして大方の予想を裏切るように、DeNAとソフトバンクの日本シリーズが始まった。以下、試合内容とともに、球場内に漂っていた空気感を記す。 第1戦、コロナ禍の期間にかけてウィング席を増設した横浜スタジアムには3万3147人の観客が詰めかけた。バックスクリーン裏から、観客席でも「熱」を感じるような盛大な炎を噴き上げ、DeNAの下剋上を後押ししようとしたが、第1戦、第2戦の展開は王者ソフトバンクが「順当に勝った」と評するしかないものだった。 初戦は最多勝の有原航平が安定感ある投球で7回零封、対するジャクソンの球はうわずり、4.2回97球、自責点2で降板。時おり雨が降りかかる中、小久保裕紀監督は8回ヘルナンデス、9回オスナという「勝利の方程式」を投入。しかしNPB最高年俸のオスナは最終回に3失点。何とか5対3で逃げ切った。 第2戦はDeNA先発・大貫晋一が乱調で、2.1回62球自責点4で降板。ソフトバンクは4回までに早々と6点を挙げる。先発のモイネロは中盤からDeNA打線につかまり3失点したが、この日は「勝利の方程式」が功を奏した。さらに状態が万全でない近藤健介を初戦で代打に送り、申告敬遠で歩いた以外に使わずに連勝した。一方のDeNAはシーズン終盤、当たりに当たっていたオースティンが初戦で自打球を当てて2戦目は出られず。代役を任された筒香嘉智は4タコと暗い要素ばかりが目立っていた。 ただ、ソフトバンクは第2戦の5回から1人の走者も出せず、5イニングで15のアウトを積み重ねていたのも事実だった。 この時点で異状を感じる人は少なかったが――ソフトバンクはこの「静まり返った打線」のままで、本拠地に戻っていった。 ベイスターズファンは「戻って来いよー」とナインに声をかけていた。ただ2試合の内容から〈まあ、無理だろうけど……〉と内心考えていた人も多かったと推察する。
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