コインベースが「WBTC」取扱い廃止へ、背景にジャスティン・サンの影響か
CoinbaseがWBTC取扱い廃止へ
米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)が、暗号資産ラップドビットコイン(WBTC:Wrapped Bitcoin)の取扱い廃止予定を11月20日発表した。 取扱い廃止は、12月19日12:00(ET)を予定しており、「コインベース(Coinbase:販売所)」、「コインベース・エクスチェンジ(CoinbaseExchange:取引所)」、「コインベースプライム(Coinbase Prime:機関投資家向けサービス)」での取引が停止されるとのこと。 なおWBTCの資金は引き続きアクセス可能であり、いつでも資金を引き出すことが可能だという。 コインベースは今回の廃止理由について詳細を明らかにしていない。しかし、中国の暗号資産起業家であり、トロンブロックチェーン(TRON Blockchain: TRX)の創設者であるジャスティン・サン(Justin Sun)氏の影響が今回の背景にあるとする見方が浮上している。 WBTCのカストディ(保管)業務はこれまで、暗号資産などデジタル資産のカストディサービスを提供するビットゴー(BitGo)が担当していた。しかしビットゴーは今年8月に、サン氏の関連企業ビットグローバル(BiT Global)と合弁事業の立ち上げ、WBTCのカストディ業務を複数の管轄区域や機関に分散させる形へ移行するとした。 この提携が、WBTCの透明性や中央集権化への懸念を生じさせることから、コインベースのWBTC取扱い停止判断に影響を及ぼした可能性があると見られている。 一方、コインベースは今年9月より、同社が運営するイーサリアム(Ethereum)のレイヤー2(L2)ネットワーク「ベース(Base)」にて、独自のラップドビットコイン「cbBTC(Coinbase Wrapped BTC)」を展開している。「cbBTC」は、コインベースが保有するビットコイン(BTC)に1:1で裏付けられた暗号資産だ。この展開も、WBTCの取扱い廃止に影響を与えた可能性もある。 WBTC開発チームは、コインベースによるWBTCの取扱い廃止を受け、「コインベースがWBTCの取扱い停止を決定したことに、私たちは驚きと遺憾の意を表明します。(中略)コインベースに対し、この決定の再考とWBTC取引サポートの継続を求めます」とXにて投稿した。
一本寿和(幻冬舎 あたらしい経済)