トランプ次期米大統領の量刑言い渡し、差し止め請求退ける　連邦最高裁

アメリカの連邦最高裁判所は9日、ドナルド・トランプ次期大統領の口止め料支払いをめぐる刑事裁判で、10日の量刑言い渡しの差し止めを求めたトランプ氏の申し立てを退けた。 トランプ氏は最高裁に対し、量刑言い渡しの自動差し止めの対象になるか検討するよう求めていた。最高裁は5対4の多数決でこの申し立てを退けた。 トランプ氏はニューヨーク州地裁の裁判で、元不倫相手への口止め料13万ドルの支払いを隠すために2016年に業務記録を偽造したとして、昨年5月に重罪34件について有罪評決を受けている。 この裁判を担当するホアン・マーシャン判事は、トランプ氏の収監を命じる刑は言い渡さない意向を示している。 トランプ氏は9日夜、最高裁の判断について、「まあ、公正な判断だ」と述べた。だが、この事件そのものは「みっともないもの」だとした。 ■保守派判事3人も認めず 最高裁は今回、リベラル派の判事3人に加え、保守派のジョン・ロバーツ判事とエイミー・コニー・バレット判事がトランプ氏の申し立てを認めない判断をした。 申し立てを認めた判事4人のうち、サミュエル・アリート判事は、今回の決定を出す前日にトランプ氏と電話で話したことで批判されている。アリート判事はその電話で、過去に自らの事務官を務めていた人物を次期政権での仕事に推薦していた。 トランプ氏はこれまで、ニューヨーク州の三つの下級裁判所にも量刑言い渡しの延期などを求めてきたが、すべて退けられている。 最高裁の判事らは、トランプ氏の懸念は上訴審で対処されるとの判断から、今回の申し立てを退けた。 また、量刑が言い渡される負担は「さほど大きくない」とした。 トランプ氏に対しては、昨年5月に陪審が有罪評決を出し、量刑は当初、大統領選の最中の昨年7月に言い渡される予定だった。トランプ氏の弁護団はこれを3度にわたって延期させたが、マーシャン判事は今月3日、トランプ氏の大統領就任前の10日に、量刑を言い渡すとの決定を出した。 以来、トランプ氏の弁護団は量刑言い渡しを差し止めようと、裁判所への上訴や申し立てを繰り返している。 連邦最高裁への申し立てでは、「大統領職と連邦政府の運営に対する重大な不公正と害悪を防ぐため」、言い渡しは差し止められるべきだと訴えていた。 トランプ氏はこの日、別の法廷闘争でも敗れた。 トランプ氏は、2020年大統領選後にジョー・バイデン大統領への権限移譲を妨げようとしたとされる疑惑をめぐり、司法省のジャック・スミス特別検察官がまとめた最終報告書の公開を阻止しようと、裁判所に申し立てている。 ジョージア州の連邦控訴裁は9日、このトランプ氏の申し立てを退けた。 （英語記事　Supreme Court rejects Trump bid to halt hush-money case sentencing）