女子サッカー無限の可能性信じて…受け継がれていく思い 賀川浩さん、澤穂希さん対談 サッカー大国の魁 14代田邊五兵衛の生涯<番外編・上>
日本サッカーの揺籃(ようらん)期に14代田邊五兵衛が生涯を懸けて実現に尽力した「サッカー大国ニッポン」。生前の14代五兵衛と親交のあった、99歳の現役最年長サッカーライター、賀川浩は14代五兵衛の「直弟子」ともいえる。女子日本代表「なでしこジャパン」の主力として活躍し、世界の頂点に立った澤穂希が、神戸市立中央図書館「神戸賀川サッカー文庫」を訪問。賀川が集めた数千冊にのぼるサッカー関連の書籍や資料など、歴史を物語る収蔵品に囲まれながら、女子サッカー談義に花を咲かせた。 【写真】対談を終えて笑顔で写真に納まる賀川浩さんと澤穂希さん 笑顔で澤を迎えた賀川は、14代五兵衛の事績を「物知りで勉強家でいろんなことを頭の中に入れ、それを僕らにしゃべってくれる。まさに談論風発。サッカーが好きで、自分の好きなサッカーを日本中に広めないといけないと信じ込んでいた人。五兵衛さんがいなかったら、日本のサッカーがここまで広まったかどうかわからない」と紹介。その上で、女子サッカーの普及に力を入れていた点を挙げて「理由は単純でね。女性にサッカーをさせたら、競技人口が増えるのが早いはずだと。そういう主張だった」と澤に解説した。(敬称略) ――今の日本の女子サッカーの発展ぶりをどう受け止めているか 賀川 「女性にサッカーをしてもらおうという五兵衛さんの思いが、澤さんにつながっている。澤さんが日本の女子サッカーを世界と戦っても勝てるところまで引き上げてくれた。それがまた、五兵衛さんにはうれしいだろうね。今、五兵衛さんが元気で、澤さんと対談させたらものすごくおもしろいものになる」 澤 「日本の女子サッカーは20年前、30年前と比べたら、雲泥の差。技術もそうだし、環境もガラリと変わり、良くなったのをすごく感じる。なでしこジャパン(日本女子代表)に約21年間在籍したが、進化していくのを肌で感じた。最初のころは米国やドイツと対戦しても、相手コートでプレーさせてもらえないぐらいで正直、レベルは低かった。しかし、2011年のワールドカップ(W杯)で優勝し、ずいぶんと技術も上達した。今の女子は本当に上手だと思う」 ――女子サッカーの試合で女性のレフェリーを起用することを推奨したのも14代五兵衛。今や、女性の審判が男子のW杯で主審を務める時代となった