AIでSNS投稿分析 危機の兆候、早期発見へ 金融庁
金融庁が、人工知能(AI)を活用し金融機関などに関するSNSへの投稿を分析する試みを始めることが25日、分かった。 2025年春にも実証実験を開始する。大規模言語モデル(LLM)による分析で、大量の投稿の中から金融危機に発展しかねないリスクの兆候や、金融機関が抱える問題の早期発見につなげる狙いだ。 対象とするのはX(旧ツイッター)で、実験では過去の投稿内容や日時、投稿者の属性などのデータを購入し分析する。AIで金融機関などに関連する投稿を洗い出し、内容の重要性や投稿者の感情などを判別する。その上で、実際の事案と照らし合わせ、規則性や関連性を調査する。将来的には、リアルタイムに近い形で投稿内容を分析することを目指す。 金融庁は、銀行や証券会社の経営悪化に関する情報が急拡散していたり、特定の商品やサービスの投稿が目立って増えたりする状態を検知し、監視の手掛かりをつかむことなどを想定する。 23年3月に起きた米シリコンバレー銀行の経営破綻では、SNS上で信用不安を訴える投稿が拡散して取り付け騒ぎが発生。急速に預金が流出する事態となった。国内でも24年3月、福岡銀行(福岡市)で「取り付け騒ぎが起こる」との偽情報が投稿され、同行が対応に追われた。SNSの社会的な影響力は強まっており、金融庁はAIで効率的に投稿内容を分析して危機を未然に防ぎたい考えだ。