妻との食事は箸で食べ物を口に運ぶだけの“作業”です…定年後、家に居場所がない年金月27万円の65歳元高校教師、時間潰しの「新潟のフードコート」で目撃「高齢者たちのモラルを疑う光景」【FPが解説】
フードコートに集まるシニア男性達
「あれ、あの人たち……」フードコートに行くと70歳前後くらいのシニア男性達がいつも同じ席で談笑していることに気が付きました。 ハンバーガーを頼んだ矢崎さんが席に腰を下ろすと、近くのテーブルの男性が「最近よく来られてますね」と話しかけてきたのでした。話しかけてきた男性のグループも、仕事を辞めてから時間を持て余し、これといった趣味もないことから、なんでも揃っている大型ショッピングセンターに立ち寄り、このフードコートで同じように集まってきた行き場のない同世代の人たちで集まるようになってきたといいます。 定年退職の先輩直伝、フードコートでの時間の潰し方 そして、矢崎さんにフードコートでの「時間の潰し方」を教えてくれました。 彼らは無料の給水機で水を何度も汲み、注文はSサイズのポテトを4人でシェアしながら長時間談笑するのが常連のスタイルだというのです。長居をするために、多くの食べ物を買わないのは暗黙のルールとなっており、いかに少ない出費で長時間を楽しむかが重要だと笑います。 フライドポテトはSサイズで約200円、4人で割れば1人50円。そうして彼らは週に2~3回はフードコートで過ごして談笑しながら時間を潰し、夕方になると帰宅する毎日を送っていたそうです。 はじめは「そんな店の人に迷惑になるようなこと」とモラルを疑っていました。もともと公務員で、公的年金の受給額も恵まれている矢崎さんは、比較的ゆとりのある老後を送ることができています。しかし、虚しさを感じながら過ごす日々のなかで、気さくに話しかけてくれた男性らに対し、自分も輪に入りたいと思うようになりました。 次の日、再びフードコートを訪れると、また会いました。今度は同じテーブルに座らせてもらった矢崎さん。ポテトをみんなでわけあい食べながら過ごしていると、「確かに近ごろ脂っこいものは量を食べられなくなったし、わけるとちょうどいい。もう教師じゃないし、誰が俺を責めるというんだ。みんな孤独だ。こうして孤独を埋めているんだ。老後はなにがあるかわからないし、お金が減らないならそれでいいじゃないか」妙に納得しました。 こうして、矢崎さんはフードコートに集まる先輩たちとともにお金を使わずに過ごす生活を送るようになったのでした。
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