ボルボEX30 詳細データテスト 高い動力とほどほどの操縦性 物足りない乗り心地 厄介な監視機能
快適性/静粛性 ★★★★★★☆☆☆☆
EX30の運転席は、ハッチバックにありがちな高さで、シート自体もさほど大きくも包み込むような形状でもないが、周辺のスペースが広くて快適なのはたしかだ。座面も背もたれもアジャスト性はやや限定的だが、テスターのほとんどは適切で快適なドライビングポジションをいつでも見つけられた。フロントとサイドの視認性は良好、後方や肩越しも問題はない。 巡航時の騒音計の数値は、80km/hで63dBA、113km/hで66dBA。それぞれ、いずれかでライバル各車を凌ぐ静粛性を見せるが、全面的に圧倒するほどではなかった。スピードを上げると、19インチホイールが多少のロードノイズを発するのが聞き取れる。 しかし、やや過敏で、A級道路やB級道路でも妙にピッチの出る乗り心地は、プレミアム物件を名乗るには小さからぬ支障だ。その一因は車両重量にありそうだが、そこにトラベルの長いサスペンションという組み合わせも理由なのだろう。 このシャシーは、モーターを積んで駆動するリアアクスルを、一種のモーションダンパーとして使うようなチューニングを施しているようなところがある。凹凸の大きい道路では、後輪上の上下動は穏やかだが一貫した挙動になるはずだ。 コントロールを失うことは決してないが、完全に制御できることもめったにない。快適性全般を考えれば、ポジティブな効果をもたらす策ではない。
購入と維持 ★★★★★★☆☆☆☆
英国での価格設定は3万3795ポンド(約649万円)からというEX30をして、ボルボは購入の敷居を大きく引き下げたと言うが、これは装備がシンプルで、バッテリー容量も航続距離も最小のシングルモーター・プラス仕様の場合だ。 テスト車は中間グレードのシングルモーター・エクステンデッドレンジ・プラスで、価格は3万8545ポンド(約740万円)となるが、装備は充実している。パイロット機能付きのクルーズコントロールのほか、ボルボご自慢の安全システムはフル装備状態。ワイヤレス充電器やプレミアムオーディオ、前席とステアリングホイールのヒーターもついてくる。 それ以上を望むなら、4万2045ポンド(約807万円)のウルトラへアップグレードする以外に選択肢はない。オプションパッケージなどは用意されていないからだ。 残念だったのは電費だ。英国の高速道路の制限速度である113km/hで巡航した場合は4.2km/kWhに留まった。たしかに気温の低い中でのテストだったのだが、テスト車にはヒートポンプが標準装備されていたというのに、この数字では不満を覚える。 低速走行であれば、公称値に近い数字が出るのだが、複合的な使い方をすると、一充電あたり288kmしか走れないのだ。主なライバルは、これより25~40%は余計に走る。