日本代表最終ライン争いへ昌子源が3か月ぶりに戦列復帰!
左足首捻挫の回復に時間がかかる
約3ヵ月ぶりに、キックオフを告げる主審のホイッスルをピッチの上で聞いた。敵地ヤンマースタジアムで7月25日に行われた、セレッソ大阪との明治安田生命J1リーグ第14節。水沼宏太のシュートをブロックしようとコースへ飛び込んだ前半38分に、左足首に激痛が走った。 芝生に左足を引っかける形でひねってしまった。自ら交代を申し出るほどの大けがだと直感で分かった。診断の結果は左足関節捻挫。全治までは約3週間とされたが、夏が過ぎ、秋が訪れても、ロシア大会で株を急上昇させた常勝軍団のディフェンスリーダーが戦列に戻ることはなかった。 アントラーズが置かれた特異な状況も、復帰の遅れに少なからず影響を与えたのかもしれない。日本勢の中でAFCチャンピオンズリーグ(ACL)を唯一勝ち進んでいるアントラーズは、この2ヵ月間でJ1、YBCルヴァンカップ、天皇杯全日本選手権を合わせて実に「16」もの公式戦を戦ってきた。 試合の間隔が詰まれば必然的に実戦的な練習、要は紅白戦や他チームとの練習試合を減らさざるを得なくなる。リカバーやコンディション調整がメインメニューとなる分だけ、怪我からの復帰を目指す選手にとっては「やっぱり痛いですよね」と昌子は苦笑しながら振り返る。 「それを言い訳にするわけじゃないけど、紅白戦や練習試合などで少しずつやっていきたい中で、試合勘といったものを練習で補うことができなかった。ただ、そういう状況でもないし、ものすごい連戦の中で自分のコンディションを極力100%に近づけさせるような努力はしてきました」 2点のビハインドを追いつきながらあと1点が奪えず、2試合合計で3-4のスコアで横浜F・マリノスに敗退した、14日のYBCルヴァンカップ準決勝第2戦の後半39分から途中出場。公式戦の感覚を思い出した昌子は、レッズ戦ではセンターバックとして先発フル出場を果たした。 どれだけ試合勘を取り戻せたのか、と問われた昌子は「どこで(判断するのか)、というのは人それぞれやと思う」と断りを入れた上で、自分自身のバロメーターを2つ挙げた。 「1対1におけるフィーリングとロングキックの距離ですね。ただ、1対1ではガッツリしたものがなかった。シンゾウ(興梠慎三)君がおそらく僕のところに一回も来なかったから、面白くなかったというか。その分だけ声を出して、オーガナイズ(組織化)しながら戦えればと考えていました」 最終ラインからのロングパスは後半だけで、途中出場していたFW鈴木優磨に1本、DF小田逸稀に2本を通した。 昌子自身をして「しっかりと足元に、距離も正確に出せたと思う」と言わしめた一方で、アントラーズに加入してからの7年半でたくましく育まれたリーダーシップを発揮する場面もあった。