『マッドマックス:フュリオサ』が思わぬ苦戦!?北米No. 1発進も、クリス・プラット&“ニュークス”共演のアニメ映画が猛追
例年サマーシーズン前半を盛り上げるビッグタイトルが封切られるメモリアル・デー(戦没将兵追悼記念日)の週末。今年はその代表としてジョージ・ミラー監督による『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(15)の前日譚にあたる『マッドマックス:フュリオサ』(日本公開中)が封切られたが、いまは歴史的閑散期のまっただなか。詳細は後述するが、『フュリオサ』の初動成績はメモリアル・デー週末の1位作品としては過去29年(コロナ禍の2020年を除く)で最も低い数字となったようだ。 【写真を見る】全米で愛されるネコのキャラクターが18年ぶりにスクリーンに!声を担当したのはクリス・プラット オスカー女優シャーリーズ・セロンから、話題作への出演が相次ぐアニャ・テイラー=ジョイへと“フュリオサ役”のバトンが渡された『フュリオサ』。3804館で封切られ、初日から3日間の興収は2632万ドル。また、メモリアル・デー当日の月曜日を含めた4日間の興収も3234万ドルと、事前の予想や期待を下回るかなりスローなスタートに。 もっとも、最終興収1億5000万ドルを突破した前作『怒りのデス・ロード』も初動成績は決して抜けたものではなく、初週末の興収ランキングでは『ピッチ・パーフェクト2』(15)に敗れていた。そんな前作は公開2週目にメモリアル・デーの週末を迎えており、その4日間の興収は3128万ドル。つまり今回の『フュリオサ』の初週末は『怒りのデス・ロード』の2週目末の成績とほぼ同等ということになる。 批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば、批評家からの好意的評価の割合は91%(つい数日前まで90%だった)と、こちらも『怒りのデス・ロード』の同97%と比較すれば低いが、最近のブロックバスターアクション映画としては文句なしの高水準。観客からの好意的評価の割合も90%と安定しており、弾不足のこのサマーシーズンならばそれなりの位置を保ったまま駆け抜けられるだけのポテンシャルは備えていると考えられる。 『フュリオサ』のもうひとつのネックは、海外興収が思いのほか伸びていないということだ。北米週末3日間興収では230万ドル差、4日間興収では110万ドル差の接戦でなんとか退けた2位のCGアニメ『The Garfield Movie』は、すでに海外興収と合わせた全世界興収で1億ドルを突破。『フュリオサ』はまだ同7000万ドルほどなので、3000万ドル以上の差がついてしまっている。『怒りのデス・ロード』は全世界興収3億8000万ドル超え。北米での累計興収では前作に迫る可能性がないわけではないが、全世界興収では至難の業だろう。 予想外に『フュリオサ』を苦しめた『The Garfield Movie』は、初日から3日間で興収2400万ドル、4日間では3125万ドルとまずまず。かつて実写&アニメのハイブリッドで制作された『ガーフィールド』(04)のオープニング興収は2172万ドルだったので、今作はそれを上回っているし、興行的失敗に終わった『ガーフィールド2』(06)の最終興収はたった4日で上回ることに成功。作品評価は壊滅的ではあるが、先述の通り海外興収も上々で製作費6000万ドルの回収もあっさりと完了している。 20年前のハイブリッド版ではビル・マーレイが担当したガーフィールドの声はクリス・プラットが務め、その飼い主のジョン・アーバックルの声は『怒りのデス・ロード』のニュークス役で知られるニコラス・ホルトが担当。サマーシーズンの本命の一本だった『フュリオサ』に迫る成績をあげたことで、この夏を代表するファミリームービーの座を『ブルー きみは大丈夫』(6月14日日本公開)と争うには申しぶんのない滑りだしになったといえよう。 文/久保田 和馬