「前向きで背中を押してくれる条文」渡辺ペコさんが語る『1122』の冒頭に憲法第24条を入れたワケ
2016年に連載が開始されるや否や、「婚外恋愛許可制」「セックスレス」など、踏み込んだ描写が話題を呼び、大きな注目を集めたマンガ『1122(いいふうふ)』。結婚とは何かを問いかける渡辺ペコさんの話題作がこの夏、ドラマ化されます。 【画像】マンガ冒頭で提示される「憲法第24条」 相原一子(あいはらいちこ)と二也(おとや)は結婚7年目の仲良し夫婦。しかしセックスレスで子供がいない二人は、夫婦仲を円満に保つため「婚外恋愛許可制」を選択する……という、これまでにない物語です。 結婚している夫婦も3組に1組は離婚する時代。「結婚って何だろう」「いい夫婦って何だろう」――鋭い観察眼とユーモアで、現代社会に生きる私たちを取り巻く違和感を、丁寧にすくいとってきた漫画家・渡辺ペコさんにお話を伺いました。
漫画ではかなり“嫌われていた”二也が映像では…
――まずは『1122 いいふうふ』ドラマ化決定を受けての率直なお気持ちをお聞きします。 実は本作『1122』は、編集部を通してこれまでいくつか実写化を希望するのご連絡をいただいていました。しかし、いろいろな事情があったと思うんですけど、それらはすべて流れてしまって。その度に落胆してしまうので、もう実写化のご連絡をいただいても喜ばないようにしていたんです。ただ、今回佐藤順子プロデューサーからお話をいただいた際の文面からは、作品からいろいろなものを受け取ってくださったことが伝わってきて、素直に嬉しくなりました。そのときはまだ具体的なキャストの話などはありませんでしたが、信頼できる方が携わってくれるのであれば、今回はうまく事が運ぶといいなと思っていました。 ――できあがった作品を観られた感想はいかがでしたか? まだ胸がいっぱいで、思い出すだけでうるっときてしまいます。やはり、まずは高畑充希さんと岡田将生さんが引き受けてくださったことが大きいです。第一話から高畑さん演じる一子がすぐに寝転がってゴロゴロしてしまう穏やかな感じと、岡田さん演じる二也が率先して家事をしてくれている様子にきゅんきゅんしてしまいました。すごく素敵な関係性ですよね。最初は二人が醸し出す空気感に心地よさを感じていました。そして話が進んでいくうちに、自分が完全に“意図していたわけではないんだけれども、意識はしてた”ことが画面から見えてきてびっくりしました。 ――どのような場面でしょうか。 たとえば、岡田さん演じる二也は序盤から見ていくと、甲斐甲斐しく相手をケアしてくれる優しい夫。でも徐々に、優しすぎてちょっと何を考えてるのかがわからないという部分が見えてくるんです。私が自分で漫画を描いていたときは、実際にこういうのらりくらりとした男性は結構いるんじゃないかなと思っていたけれど、世間のリアクションをみてみると、そんな二也はかなり嫌われていたんですよ。やはり不倫男性はそういう目で見られます。漫画のキャラとしては読者の方々に怒られていたんですけど、映像で観ているとより人物像が立体的に立ち上がってきたことで、ただの“理解ができない不倫夫”ではなく、この人は“優しいんだけど、掴みどころがない。なんでこんなにいろんな人に優しく接してしまうんだろう”みたいに、どんどん興味を持ってしまうようなキャラクターに仕上がっていました。