〈40年間無職の女性〉「31歳で高校入学した時点では、九九も覚えてなくて…」長年のひきこもりから脱出できたワケ
「死刑宣告を受けたに等しい」を乗り越えて
高校生活を経て、究極の自分史ともいえる著作『気がつけば40年間無職だった。』を世に放った難波さんは、その反響を踏まえたうえでこう話す。 「ひきこもりの当事者の方からお便りをもらうこともあり、それは励みになります。また、引きこもりのお子さんを持つ親御様からの声も多数あります。 あの当時、理解してくれる人がいないことは死刑宣告を受けたに等しい心境でした。だから、この書籍を通じて『私はここにいる』ということを伝えたかったんだと思います。 そのときに求めたものは私の場合、残念ながら得られませんでしたが、そういう経験があったからこそ、作品を生み出せたとも思っています」 不登校や引きこもりの問題は根深い。世の“当たり前”を遂行できない惨めな自分と向き合う時間はなんと長いことだろう。その長いトンネルでもがき続けた難波さんが声を上げた。どんなにか細い声でも、ないことにはならない。 停滞する人たちの背景に少しでも思いを馳せられる社会の幕開けに、この一冊が寄与するといい。 取材・文・写真/黒島暁生
黒島暁生