旅客船沈没事故から見えてくる韓国社会 /辺真一「コリア・レポート」編集長
求められる「悪弊」の是正
日本の場合、個人であれ、法人であれ、事件や問題を起こせば、当事者や責任者の口から「私の不徳のいたすところ」との一言が発せられます。しかし、韓国にはこのような慣例はありません。子供が問題を起こした時に許しを請うため両親が使うことはあっても、一般に使われる慣用語ではありません。 韓国人は過ちや失敗を他人に転嫁しようとする面があります。例えば、会社の倒産は自分の経営能力のなさが原因ではなく、融資しない銀行が悪いという具合です。韓国人の場合、自らの認めると、すべてその責任を取らなければならない事情があるからです。 韓国史上最悪の今回の大惨事は韓国の事故への対応が後進国の水準であることが露呈されましたが、再発防止には安全対策の強化のほか悪弊の是正も必要なのかもしれません。
--------------------------------------- ■辺真一(ぴょん・じんいる) 東京生まれ。明治学院大学(英文科)卒業後、新聞記者を経て、フリージャーナリストへ。 1982年 朝鮮半島問題専門誌「コリア・レポート」創刊。 1986年 テレビ、ラジオで評論活動を開始。 1998年 ラジオ短波「アジアニュース」パーソナリティー。 1999年 参議院朝鮮問題調査会の参考人。 2003年 海上保安庁政策アドバイザー。 2003年 沖縄大学客員教授。