「井上尚弥vs.グッドマン」を独占配信、狙いは? ドコモ社長に聞いた
「コンテンツそのものの部分にビジネスチャンスを広げたい」
――dドリームスポーツ&マネジメントに出資したビジネス的な狙いは? 従来はエンターテインメント事業に関して、どちらかというと川下というか、配信などのデリバリーの部分を中心にビジネスを組み立てていましたが、今後はバリューチェーンの川上の方、つまりコンテンツそのものの部分にビジネスチャンスを広げたいと考えています。 2023年には吉本興業さまとNTTドコモ・スタジオ&ライブという会社を作りました。同社では例えば映像を制作したり、興行をしたりといった事業を手掛けてきています。同じようにスポーツ分野に関しても、川上、つまりコンテンツそのものに対してのビジネスチャンスを得たいと考えています。 これまでも大橋ボクシングジムの大橋秀行会長や井上選手とは、いろいろな形で連携したり、協力したりしてきました。今回も大橋ジムとセカンドキャリアの方に「ぜひご一緒しましょう」と要請いただきましたし「ビジネスの戦略の流れにも合っているな」と判断して、出資をした経緯があります。 ――出資したことによって、具体的にどんなことが起こってくるのですか? これまではずっと試合の配信をしてきましたが、今後は配信のみならず、コンテンツの企画や制作など、いろんなチャンスがあると考えています。おのおのの活動をバラバラにやっていくよりは、ビジネスとして全体を最大化させることができそうだと感じています。そうすれば収益効率も高まります。自分たちでハンドリングしやすくもなります。そうすれば選手や関係者への還元も大きくしていけると考えています。 ――レミノの収益などの一部から、こどもホスピスへの寄付を始めとした社会貢献活動と、ボクシング振興のために活用することを目的とした「ネクストモンスタープロジェクト」も11月から始めます。狙いは? まず、せっかくこういった形でボクシングに関わっていますので、 業界全体の振興と成長につなげ、少しでも還元していきたい思いがあります。 もう1つは社会貢献です。例えば9月には井上選手や大橋ジムと協力し、ドコモ未来フィールド「井上尚弥選手&大橋ボクシングジム 特別体験イベント」を開催しました。そこで子どもたちに、実際のプロボクサーがどんな感じで練習しているのかを見てもらい、井上選手には子どもたちに直接教えるイベントに協力いただいたんですね。そういうことも含めて、 これからの未来を担う子どもたちに貢献するという目的があります。その2つを全体の動きの中でやりたいなと。 ――社会貢献の色が強いように見えます。ドコモとして、こういった活動がビジネス的にもプラスに働くと考えますか。 もちろんです。やはり当社だけで、いろいろなことができるわけではありません。実際に今回、大橋会長や井上選手、セカンドキャリアさんにチャンスをいただけています。それは、この大会自体が社会にとってインパクトのあるコンテンツであって、それを見て豊かになる方々が多くいるということです。そしてドコモは、そこに参加させていただいているということだと思います。こうした関係性が持続的に成長していく、つまり長く続いていくためには、やはり当社も何かを還元し、環境を整えていく必要があると考えています。 われわれがビジネスをするためにも、社会貢献活動は必ずやらなければならないと思っています。逆にいうと、そこがなければ全部ついえてしまうかもしれない。そういった意味で、われわれにもビジネスリターンのある話だと考えています。 (アイティメディア今野大一)
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