「豚」の生食が禁止 「馬や鹿」は生で食べてもいいの?
豚肉の生食(内臓を含む)が6月12日から禁止されました。食品衛生法の規格基準が改正されたことによるもので、違反した場合、2012年に禁止された牛の生レバーと同様に、2年以下の懲役や200万円以下の罰金が科されることがあります。 そもそも「豚肉はよく火を通す」のが一般常識。豚のレバ刺しが飲食店のメニューとして提供されていたこと自体、少々意外ではあります。でも、今回の措置を担当する厚生労働省食品安全部基準審査課の担当者に聞くと、「2012年に牛のレバ刺しを提供することが禁止されてから、全国で豚の生レバーを提供する店が増加していた」ということです。 豚肉には寄生虫がつきやすいといわれますが、さらに、豚レバーを生食するとE型肝炎に感染するリスクが高いといいます。厚労省では「食肉等の生食に関する調査会」で専門家による議論を重ね、豚生肉の販売や提供を禁止して、罰則を設けることを決定しました。
豚よりは寄生虫などのリスク低い
今回、豚肉が内臓以外の部位も含めて生食禁止とされたのは「今まで生食用として提供されていなかった食肉等が提供されるようになった実態」(食肉等の生食に関する調査会報告書より抜粋)を踏まえ、相対的にリスクの高い豚肉が明記されたものです。 とはいえ、豚肉以外の生肉について、何もかもが提供を禁止されているわけではありません。「食の選択は基本的には消費者による食品の栄養面でのメリットも踏まえた選択の自由が認められるべきもの」であり、食肉を提供する事業者の衛生管理などを徹底し、生肉を食べることに関して「消費者がリスクを認識する」ことが大切であることが、調査会の報告書で述べられています。 2011年に連続して発生した食中毒事件で印象に残っている「牛ユッケ」や、最近は首都圏の居酒屋でもよく目にするようになった「馬刺し」などは、豚肉よりも寄生虫や食中毒などのリスクが低いとされており、提供する肉塊を一定の温度以上で加熱した上で、周辺部をトリミング(削り落とすこと)して使用するといった衛生基準のガイドラインに沿っていれば、販売・提供することが可能です。