「長男の嫁」が相続に口出し…遺言書だけじゃない、事前にできる〈4つの対処法〉
特別寄与料と寄与分とは? 何が違うのか
相続が発生した際に、被相続人に生前、介護や看護などにより何らかの形で貢献した場合、相続財産を請求する事が出来る特別寄与料や寄与分というものがあります。 以下では特別寄与料と寄与分について解説していきます。 特別寄与料と寄与分とは 特別寄与料とは、民法改正により新しく設けられた制度であり、被相続人が生前に介護や看護などで相続人でない人が被相続人に貢献していた場合、その貢献に報いる制度です。 特別寄与料の請求権者となる要件は、 (1)親族であること (2)相続人でないこと (3)相続放棄、欠格、廃除により相続権を失った者でないこと の3つで、被相続人に貢献していた場合には相続人でない人であっても貢献度に応じて金銭を相続人に請求する事が出来ます。 特別寄与料に似たようなものとして、寄与分があります。 共同相続人のうちで、被相続人の事業を手伝っていたり、あるいは被相続人に対して財産的な援助や、療養看護その他の方法により、被相続人の財産の維持または増加について、特別の寄与をした人がいるときは、その人の法定相続分にその寄与した分を上乗せします。 なお、寄与分は法定相続人のみ認められています。寄与分とは、被相続人に貢献した場合に他の相続人と比べて多く財産を受け取る事が出来る制度であり、特別寄与料と寄与分の違いは、相続人に限定しているかどうかといった点になります。 特別寄与料の請求要件 特別寄与料の請求要件は以下の3つすべてを満たしていることです。 要件(1)被相続人の親族であること 特別寄与料が請求出来るのは、被相続人の親族であり、相続人でない人になります。例えば、被相続人の兄弟や甥、姪、子供の配偶者などが該当します。 要件(2)被相続人に対して無償で療養看護などをしたこと 上記(1)の他に、生前、被相続人に無償で介護や看護などの役務提供を行ったことが必要になります。 要件(3)被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をしたこと 上記(2)をしたことにより、介護費などを支払わずに済んだ場合、被相続人の財産の維持や増加に貢献した事になります。 特別寄与料の請求金額について 特別寄与料の請求金額には明確な基準はありません。実務上は特別寄与料を請求する人と相続人とが交渉して請求金額を決めることが多いです。 しかし、請求金額がなかなか決まらずに揉めている場合には、特別寄与料の金額を決める一つの目安として、寄与分の金額の算定方法を参考にすることができます。 寄与分の算定方法として、家庭裁判所では相続人が被相続人の療養看護をした場合の寄与分を下記算式で求めることがあります。 第三者が療養看護を行った場合の日当額×療養看護の日数×裁量割合(※) (※)0.5から0.8程度(裁量割合とは、療養看護を専門職としていない人が看護をした場合の割合を指します) なお、特別寄与料を請求できる金額は上記算式により計算した金額が遺産総額を超えていた場合であっても、遺産総額の範囲内になります。 また、特別寄与料の請求方法としては、次の2つの方法が挙げられます。 (1)遺産を相続する相続人と直接交渉する方法 (2)家庭裁判所に「特別の寄与に関する処分調停」を申し立てる方法