7000人診察して見えた、上司と部下の関係がこじれてしまう「職場をブチ壊す人の実態」
根性論を押しつける、相手を見下す、責任をなすりつける、足を引っ張る、人によって態度を変える、自己保身しか頭にない……どの職場にも必ずいるかれらはいったい何を考えているのか。5万部突破ベストセラー『職場を腐らせる人たち』では、これまで7000人以上診察してきた精神科医が豊富な臨床例から明かす。 【写真】知ったら全員驚愕…職場をダメにする人の「ヤバい実態」
注意されると言い訳する人
〈自分の落ち度を注意されると、「パワハラ」と騒ぎ立て、「自分は悪くない。むしろ被害者だ」と主張する人は少なくない。ある金融機関でも、30代の男性社員が「ミスが多い。もっと注意深く書類を作成しろ」と上司から叱責されて書類をいちいちチェックされるようになり、それに不満を募らせたのか、「監視されている。パワハラだ」と訴え、大騒動になった。 もっとも、この男性のミスでは、同じ部署の同僚の多くが迷惑していたので、上司の叱責もチェックも当然だという声が圧倒的に多かった。何しろ、彼は融資希望の顧客が申込書に記入した内容をパソコンに入力する作業を担当していたのだが、生年月日さえ間違えることがしばしばあったのだから。 それでも、この男性に悪びれた様子はまったくなかった。しかも、上司のほうもパワハラだと騒がれたことで警戒するようになったのか、この男性が作成した書類をいちいちチェックすることも、厳しく注意することもなくなった。だからといって、彼のミスが減ったわけではなく、次の業務の担当者がミスを発見するたびに修正している。その分、確認のための時間がかかるし、修正のための作業も増えるので、一番の被害者はこの担当者かもしれない。〉(『職場を腐らせる人たち』より) 注意されると言い訳したり責任転嫁したりする人はどこにでもいる。 『職場を腐らせる人たち』では、「他人のせいにする人」という事例の中で紹介されている。
部下上司の難しい人間関係
叱責されるとパワハラと騒ぐ人は、何を考えているのだろうか。 〈遅刻やミスを繰り返して上司から叱責された社員が「パワハラ」と騒ぎ立てて難を逃れようとするのは、自己保身のためだろう。悪いのはパワハラの加害者である上司ということにすれば、遅刻やミスなどの自分自身の非をうやむやにできるという思惑が透けて見える。〉(『職場を腐らせる人たち』より) このような出来事は、部下から上司だけでなく、上司から部下という関係でもしばしば起こる。 〈部下への責任転嫁は、もちろん自己保身のためだろう。現在の地位や収入などへの執着も、それを失うことに対する喪失不安も強いからこそ、わが身を守るために、部下に平気で責任を押しつける。わが身を守りたいという願望は誰にでもあるはずだ。〉(『職場を腐らせる人たち』より) わが身を守るためなら何でもする人には注意しながら仕事をしてほしい。 つづく「どの会社にもいる「他人を見下し、自己保身に走る」職場を腐らせる人たちの正体」では、「最も多い悩みは職場の人間関係に関するもので、だいたい職場を腐らせる人がらみ」「職場を腐らせる人が一人でもいると、腐ったミカンと同様に職場全体に腐敗が広がっていく」という著者が問題をシャープに語る。
片田 珠美(精神科医)