【独自】韓国の児童・青少年、5年間で「うつ・不安障害」が急増…自殺も過去最大
昨年のうつ病診療、約5万3千人 専門家、「コロナやソーシャルメディアなどが影響」
ソウルに住むイ・ユンハさん(9・仮名)は最近、精神健康医学科の検査結果、うつ病と不安障害の診断を受けた。両親が離婚する前にユンハさんは父親の暴力的な姿などをよく目撃したが、母親は当時の記憶がユンハさんのうつ病と荒っぽい言動などに影響を及ぼしたと推測する。ユンハさんの弟は小学校入学後、授業時間に大声を上げ、物を投げるなど問題行動を起こした。このため、ユンハさんの母親が弟にさらに気を使うようになると、ユンハさんも弟に暴力的な行動を取り、学校で否定的な言葉と行動を見せた。ユンハさんの弟は心理治療を通じて安定を取り戻しており、ユンハさんも今月から「緑の傘こども財団」の支援で心理治療を受けている。 30日、野党「共に民主党」のチョン・ジンスク議員室が国民健康保険公団から受け取った「児童・青少年のうつ病および不安障害の現況」によると、この5年間でユンハさんのようにうつ病と不安障害を患う児童・青少年は大きく増えた。昨年うつ病の診療を受けた児童・青少年(7~18歳)は5万3070人で、2018年(3万190人)に比べて75.8%増加。昨年不安障害の診療を受けた児童・青少年は2万8510人で、2018年(1万4763人)に比べて93.1%増えた。今年上半期にもすでに児童・青少年の3万8315人がうつ病、1万8692人が不安障害の診療を受け、増加傾向が続くとみられる。 特に7~12歳のうつ病と不安障害の増加率が著しい。昨年うつ病の診療を受けた7~12歳は5345人で、2018年(2499人)より113.9%増加した。昨年不安障害の診療を受けた7~12歳は5895人で、2018年(2492人)に比べて136.6%増えた。これは、同期間の全年齢層のうつ病増加率38.5%や、不安障害増加率28.0%を大きく上回る数値だ。 児童・青少年の精神健康(メンタルヘルス)の悪化は自殺率の増加にも影響を及ぼすものとみられる。チョン・ジンスク議員室が教育部から提出された「子どもの自殺現況」によると、昨年の小中高校生の自殺による死亡者は214人だった。これまで最大値だった2009年(202人)より12人多く、過去最多となった。今年も8月29日までの間に生徒148人が自殺で死亡した。教育部が把握した2018~2024年の生徒の自殺原因(重複集計)1711件によると、「精神科的問題」(277件)が原因不詳(356件)や家庭問題(349件)の次に多い3番目の主要要因であることが分かった。 専門家たちは、二極化やソーシャルメディアの発達、コロナ禍の影響などを原因に挙げる。国立精神健康センターのチェ・ジョンウォン小児青少年精神課長は「最近、児童・青少年のカウンセリングをすると、二極化によって社会・経済的に他の子たちとスタートラインが異なり、これを自分の力で乗り越えるのは難しいと思って不安とうつを感じているケースが多い。ソーシャルメディアを通じてこのような格差はたやすく確認されもする」と語った。江原大学医学部のパク・チョンイク教授(精神健康医学)は「新型コロナウイルス感染症が社会全般的にメンタルヘルスに悪影響を及ぼした。特に児童のメンタルヘルスは家庭内の状況による影響を多く受けるが、コロナ禍で家庭内の大人のメンタルヘルスが悪化し、これが子どもたちにも悪く働いた可能性がある」と話した。 チョン・ジンスク議員は「学校と地域社会が連携して児童・青少年の精神健康を管理するプログラムおよびインフラを強化しなければならない」と述べた。 キム・ユンジュ、ソン・ジミン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )