「虎に翼」吉田恵里香が続編を書くならそのテーマは…?
――猪爪花江(森田望智)は、もう1人の主人公だと思って描いていらっしゃったそうですが、吉田さんが花江に託したもの、そして花江を描く際に大事にしていたことを教えてください。 「朝ドラでは、何かを成し遂げた男性の“奥さま”にフォーカスした作品もあるので、花江の朝ドラがあってもおかしくないように考えて書きました。花江は、“社会に出たい”“働きたい”という気持ちは一切なくて、家庭に入って家族を支えたり、家族のために生きることに幸せを感じている人なんです。それは一貫しているので、働きに出るという描写はやめようと思っていて。彼女が働いたのは、戦後の縫い物の内職ぐらいなんですよね。社会構造的に、バリバリ働く人のためには誰かケアする人がいなきゃいけなくて。その改善策は私にも分からないんですけど、そういう構造の中で、支える側が二軍扱いされてしまう世の中に、すごく腹が立ちます。お互いに支え合って、家庭を円満にすることがどれだけ大変で大事かは、支える側の努力でしか成り得ないこと。でも、それを全部担って、やらされるみたいに思われるのは違うのではないかと。家庭のことは、みんなが支え合うことだと思っています。猪爪家も、途中からみんなで支え合う方向に変わっているんですけど、その主戦力は花江で。義弟の直明(三山凌輝)の同居の話なども含めて、彼女を取り巻くような考えが見えてくるようにしたつもりです」 ――寅子の口癖の「はて?」を思い付いた経緯、込めた思いを教えていただきたいです。 「第1話から出てくるので、初期から決まっていたことなんですけど、寅子が今、疑問に思ったんだなとか、おかしいなと思ったんだなと分かりやすく提示できる言葉がほしくて。寅子も、誰かを否定や攻撃したいわけではないので、強くない言葉と考えました。『違うんじゃないんですか』『はあ?』だと、会話が終わってしまうので、思ったことを口に出して対話していくというテーマの導入になればいいなと思って考えました」 ――吉田さんは、普段から「はて?」を使われていますか? 「使わないです。口癖だったら、台本を書いている時に、『吉田さんの口癖出ていますよ』と言われてしまうので、ないですね(笑)」