<強化試合>代打決勝タイムリー三塁打の秋山「深く考えず食らいついた」
WBCに向けて最後の強化試合を勝利に導き、チームに勢いをつける最高の形にしたのは、西武の秋山翔吾(28)の一打だった。5日のオリックス戦。3-3の同点で迎えた9回二死一、二塁で小久保監督は、田中広輔に代えて、代打・秋山を送った。秋山は追い込まれたが、見逃せばボールの内角低めのカーブを救いあげると、打球はライト線へ。チームの雰囲気を一新する勝ち越しの2点タイムリー三塁打となった。 珍しくガッツポーズをした秋山は「思わずです。よく覚えていない」と興奮冷めやらない様子で試合後にメディアに対応した。 --あの打席の心境は? 「追い込まれていたので深くは考えていない。ファーストストライク(微妙なコースをストライクと判例された)で切り替えられた。追い込まれたので、とにかく食らいついていった。手ごたえもなかった」 ーースタメンでない準備は? 「これだけのメンバー。あとからいこうが、チームが勝つことだけが目的。スタメンでいけないことはしょうがないし、後ろから(代打で)いくのは想定内。打ってようが、打っていまいが、チームが勝つことでみんなが救われる。代打? 自分は経験はないが、シーズン中から、代打の人たちの準備は見ているので、ある程度は分かっているつもり。あわてることはなかった。しかも稲葉コーチからは、早い段階で、どこで行くと伝えてもらっていたので、時間の余裕もあって準備はできていた」 ーー本番に流れが変わる一打だった。 「流れが変わるかどうかはわからないが、やれることはすべてやった」 ーー自信にはなるのでは? 「本番でも、こういう場面での代打はあるのかもしれない。そこへ生かすための打席となった。自信にもなった。なんども言うけれど、大事なのは勝つという結果。それがすべて。チームが勝つための役割を果たすだけ」 2年前にシーズン最多安打記録を作った現在のプロ野球選手の中でナンバーワンのバットコントロール技術はダテではなかった。左の代打の切り札としてだけでなく、場合によっては、日替わりになっているライトのポジションでのスタメン出場はあるだろう。打線を入れ替えてもなかなか打線が活性化しない侍ジャパンにあって、秋山の持つ確かな技術の存在感ははかりしれない。