なぜ新幹線の「女性用トイレ」は少ないのか?東海道新幹線は半数へ…公共トイレに求める「男女の意識の差」
公共トイレに「安全」を求める声
ところで、公共トイレの使用実態はどのようなものだろうか。ベクトル総研が発表した論文「トイレの利用実態と占有時間に関する施設用途別比較」によると、空港でのトイレの占有時間は女性が2分16秒なのに対し、男性(小トイレ)は37秒であった。 しかし、男性(個室)は5分20秒となり、女性の2倍以上の時間を要する。興味深いことに鉄道駅は空港よりも時間を要し、女性は2分40秒、男性(個室)は5分46秒であった。 また、NPO法人日本トイレ研究所が発表した「トイレの困りごとを教えてください!」アンケートによると、公共トイレに対して男女別に困りごと要素が異なることがわかる。 差異が目立つ項目として、女性は「付属器具等」「安全」「トイレットペーパー」の割合が高かった。一方、男性は「案内表示・デザイン」の割合が高く、「安全」は5.1%(女性は12.2%)だった。 「安全」を求める声は個室トイレにおける盗撮被害への懸念の表れであり、対策を求める声は高まっている。実際に、東京都港区では昨年から女性専用トイレの整備を進めている。 翻って、東海道新幹線のトイレを考えると、男性(個室)利用時間の長さ、女性の「安全」を求める声の高さを考慮すると、女性専用トイレができるのは無理もない。また、男性はすでに男性用小トイレが存在するのだから、男女平等という観点から見ても、今回の措置に違和感はない、と筆者は考える。 最後に、男性の立場から、一言だけ付け加えたい。アンケートでもあるとおり、筆者も公共トイレにおける「案内表示・デザイン」の改善を強く求める立場だ。ようするに、男性・女性トイレの見分けがつきにくい。東海道新幹線では、はっきりと女性トイレであることがわかるデザインを求めたい。
新田 浩之(フリーライター)