改めて見直したい。レクサスLCは日本が世界に誇るべきプレミアムカーだ!
自動車ジャーナリストのレジェンド岡崎宏司氏が綴る、人気エッセイ。日本のモータリゼーションの黎明期から、現在まで縦横無尽に語り尽くします。 岡崎宏司の「クルマ備忘録」 豊田章男社長(当時)のもと、レクサスブランド再興のため2017年から販売が開始されたレクサスLC。少量生産のため街で見かけることすら少ないものの、筆者はこのクルマが日本ならではの魅力に満ちた世界に誇るべきプレミアムカーだと語ります。
最近、レクサスLC500に想うこと!
2012年のデトロイト モーターショー、、すでに12年も前のことだが、未だ鮮烈な思い出が頭に残っているモデルがある。レクサスLCのコンセプトカーだ。 当時のレクサスは、完全に色褪せたブランドに成り下がっていた。それを、豊田章男社長(当時)が再生すべく動き出したのだが、その具体的なアクション第1弾がレクサスLCだった。 レクサスのブランド再生にあたっては、僕もいろいろ意見を聞かれたり、議論に参加したりしたが、いつも気合が入っていた。 世界一の自動車生産国なのに、「世界に誇れるプレミアムブランドがない」ということに、とても悔しい思いを抱いていたからだ。
1989年、初代レクサスLSはセンセーショナルな世界デビューを果たした。フランクフルトで開催された国際試乗会でお披露目されたLSは、世界中のジャーナリストから拍手喝采で迎えられた。 果たして、世界中の雑誌や新聞に出たLSの記事は賛辞に満ちていた。とくに、静粛性と品質に関しては、賛辞を超えて驚嘆の言葉が並んでいた。 そして、最重要市場の北米では、一躍人気車になり、レクサスの名を、一気に何段階も引き上げ、プレミアムブランドとして認めさせることに成功したのだ。 、、だが、その後、モデルチェンジは重ねたものの、2017年の5代目まで人の心を惹くような目立った進化はなかった。そして、レクサス全体も長い停滞期に入ることになる。 そんな状況を変え、レクサスに活気を呼び戻したのが、2009年からトヨタを率いることになった豊田章男社長だった。