スキー+登山の「スキーモ」、目標は五輪 西川町協力隊・青木さん、W杯代表に
西川町地域おこし協力隊の青木聖美(さとみ)さん(29)=山形市出身=が、スキーと登山を合わせた「スキーモ」のワールドカップ(W杯)代表に選ばれた。1児の母で今年1月に競技を始めたばかりだが、アルペンスキーと陸上競技の経験を生かし、代表入り。スキーモは2026年に、イタリアで開催されるミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪の新種目で、五輪出場権を懸け、W杯に臨む。 青木さんは、両親ともにスキーの指導者だった影響で、2歳からスキー板に乗っていた。スキーはアルペンとクロスカントリーを経験し、陸上競技の短・中距離に取り組んだ。高校では大会出場などからは離れたが、短大中退後、子育てをしながら会社勤めを経験し、陸上競技の短・中距離では大会にも出場。その後は、ママランナー「さとちゃん」としてユーチューバーとしても活躍し、昨年3月、短大時代に訪れたことがあった西川町で、地域おこし協力隊員となった。イベントや町内の撮影・編集、動画投稿などに取り組み、SNS(交流サイト)での町の魅力発信などを担っている。
転機は今年1月。友人にスキーモの存在を聞き「私にぴったりだ」と挑戦を決めた。アルペンのように滑走するだけでなく、クロスカントリーのように走り、板を脱いで担いで斜面を駆け上がることもある。コースの周回タイムを競う。陸上競技で鍛えた瞬発力と、アルペンによるスキーコントロールや滑走を生かし、今年2月に初出場した富山県での日本選手権大会は4位だった。W杯派遣の条件は3位まで。「トップ選手との力の差を痛感した」。青木さんは山形市の蔵王温泉スキー場で、斜度32度の「大森のカベ」を上り下りし、鍛えた。 代表入りを決めたのは4月に、長野県で行われた代表選考レース。堂々の3位となった。W杯は12月12日からのフランス大会を皮切りに、8カ国で来年4月中旬まで続く。期間中は転戦する各地から自身の近況などを発信する予定だ。4日に、町内の「にしかわイノベーションハブTRAS」でW杯への出陣式が行われる。青木さんは「町が挑戦を応援してくれていることが、とてもうれしい。全てが初めてのことばかりなので楽しみたい」と笑顔で語った。
◇スキーモ 山岳スキー競技(Ski Mountaineering)の略。欧州発祥でスキーと登山を組み合わせた競技。上り下りがあるコースの周回タイムを競う。アルペンとクロスカントリーの中間のような板を使う。急斜面や岩場などではザックに取り付けて板を担ぎ、走る区間もある。