不動産向け貸出残高が「バブル超え」 一体何が起きているのか
人口減少局面で不動産市場が悪化したら?
現在は景気が堅調に推移する下、全体としてみれば賃料収入を原資とする返済が可能となっており、延滞率は抑制されています。しかしながら今後、人口が減少する下で景気が悪化するなどして不動産市場が悪化に転じた場合は、ローンの返済が滞るケースが増加する可能性があります。こうした不動産投資の損失による影響が資金の借り手と銀行だけに限定されれば良いのですが、過去の例にしたがうと、残念ながらそう簡単にはいかなさそうです。1990年頃までの日本の不動産バブルや2000年代半ばの欧米不動産バブルとその崩壊では、銀行が自らのリスクを絞るため、貸し出しを抑制したことでおカネの循環が悪くなり、国全体として倒産・失業が増加しました。 日銀は金融機関の健全性を中心に経済のリスクをチェックする観点から、こうした不動産向け貸出の動向を注視しており、最近はその警戒トーンを強めています。バブルは「弾けてみないと分からない」という性質を持つ以上、事前に最善策を講じることは難しいのですが、日銀が警戒感を強めるほど不動産市場が過熱気味であることは認識しておいたほうが良さそうです。
---------------------- ※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。