【激白】「正直、今も衝動はある」25年にわたり“性加害”経験者が語る『日本版DBS』の希望と課題
■性犯罪歴を教育現場に通知 新制度「日本版DBS」国会で審議
社会に向けて発信を続ける加藤さんが期待を寄せるのが、性犯罪歴のある人を教員や保育士など、子どもに接する仕事に就くことを実質的に制限する法案「日本版DBS」です。 その仕組みはこうです。国が、性犯罪歴を登録したシステムを管理し、学校や認可保育園などが就労を希望する人に性犯罪歴があるかどうかを事前に国に確認します。犯罪歴があった場合は、国がまず本人に事前に通知し、それでも本人が就労を希望した場合には、学校や認可保育園などに「犯罪事実確認書」が交付され、子どもに接する業務に就かせないなどの措置を講じることが求められます。 イギリスにある「DBS制度」を参考にしたため「日本版DBS」と呼ばれているのです。法案は国会で審議され、今月にも成立する見通しで、成立すれば2027年にも導入されるといいます。
■本当に子どもを守れる?性加害経験者「20年経過しても衝動はある」
保育や教育の現場から期待の声があがる一方、課題も残っています。 一つは、性犯罪歴を確認する事業者が限定的な点です。学校や認可保育園には確認を義務づける一方で、認可外保育園や学習塾などはあくまで任意でフリーランスの家庭教師やベビーシッターなどの個人事業主は対象外となっています。義務化されるのは子どもに接する職業のほんの一部でしかなく、制度の実効性を疑問視する声も少なくありません。
もう一つは、性犯罪歴を確認できる期間が限定されている点です。子どもと接する業務につけなくなる期間は、実刑判決の場合は刑を終えてから20年、執行猶予の場合は、判決が確定してから10年と限られます。 再び加害行為に及ぶことなく、20年以上が過ぎた加藤さんでさえ、「正直、今でも性加害衝動はあります。性依存症は“回復”はするが、完全に“治療”することはできません。20年経てばもう加害をしないとは言えないと思います」と訴えます。
■「懲罰では治らない」子どもを守るために…“居場所”を作る必要性
性犯罪を防ぐために、何が必要なのしょうか。 性加害者の治療を専門とするNPO法人『性障害専門医療センターSОМEC』の福井裕輝代表理事は、「被害者を生まないためには、加害者をなくすしかありません。ただ、性の嗜好はLGBTQと同様で、懲罰で治る問題ではない」と話します。 その上で福井さんは、「居場所をなくして監視するだけではだめで、例えば子どもと接することなくできる仕事を斡旋するなど、彼らの社会での居場所を作ることを、制度と合わせて進めることが再犯を防ぐことにつながる」と指摘します。 子どもへの性犯罪を撲滅するために制度で犯罪の芽を摘むだけでなく、性加害者を生まず再犯を防ぐための根本的な取り組みも改めて問われています。
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