日本を訪れる外国人観光客がウーバーイーツで頼む、今人気の料理とは?【チャリンコ爆走配達日誌】
連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第65回 ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります! * * * この連載がスタートした頃、新型コロナウイルスによる感染症が第5類感染症に移行し、海外からの観光客が戻ってきたことを実感したエピソードを書きました。その際、ホテルに宿泊する海外の方々は朝の時間帯にカフェやマクドナルドの商品をよく注文すると紹介しました。 それからまだ1年2ヶ月しか経過していないのですが、外国人観光客の注文傾向がガラリと変わりました。そこで今回は、最新の動向について書こうと思います。 まずは注文時間から。以前の配達依頼は朝6時から9時にかけて圧倒的に多かったのですが、最近はこの時間帯に注文する方はほぼいません。昨年の夏頃から注文が減り始め、秋頃にはほぼなくなりました。 なぜ注文が減ったのか。当初は理由がわかりませんでしたが、去年の冬、配達中にその理由がわかりました。 朝8時頃、マクドナルドの商品を配達中に築地の場外市場の脇を通ったら、ものすごい人だかりが。よーく見てみると、朝早い時間にもかかわらず、海鮮丼を販売する店が営業していて、どの店にも海外からの観光客がたくさんいました。 築地場外市場の飲食店などは、以前は市場関係者が多く利用するので夜明け前から営業していました。ですが、2018年に築地市場が豊洲に移転。市場関係者の利用が減ったことでオープンの時間が遅くなり、10時か11時に始まる店が増えました。 そんなわけで豊洲移転以降の築地の朝は人通りが少なく、寂しい感じとなっていたのですが、どこかの店が銀座エリアに宿泊する海外からの観光客を意識して朝早くからの営業を始めたのでしょう。それが大繁盛して周りの店も早朝からの営業を続々再開したのでしょう。久々に通った朝の築地は、海鮮丼目当ての人であふれる観光スポットとなっていました。 食事は旅行の大きな楽しみのひとつ。海外ではなかなか味わえない新鮮な生の魚を食べられる場所が近くにあるのに、自分の国でも買えるサンドイッチやトーストをウーバーで注文する人は間違いなく少数派。そんなわけで、私がよく配達する東京の銀座・日本橋エリアでは外国人観光客の朝の注文がグッと減りました。 注文する商品も大きく変わりました。以前はマクドナルド、スターバックス、ドミノピザなど海外の人にもなじみのあるものが中心でした。ところが最近は、牛丼とカレーライスを宿泊先のホテルに運ぶのが主流となっています。 海外の方が好みそうな日本のグルメは、すし、天ぷら、すき焼きといったイメージがあります。実際、都内のすし店、天ぷら店に行くと海外の方の姿をたくさん見かけます。ですが、どうやら日本に何度もやってくる方や定番の日本グルメ以外の食を紹介するサイトなども増えたようで、とんかつ、ラーメン、カレーライス、牛丼などの店に訪れる外国の方も多くなりました。 特にカレーライスと牛丼は店が深夜まで営業しているので、遅くまで遊んでからホテルに戻る観光客のスタイルに合っているのでしょう。現在は夜9時以降にカレーライス、牛丼をホテルへ持って行くと、フロントで海外の方が待っているパターンが増えました。 注文内容を見ると、カレーライスの場合は普通のカレーライスかカツカレー、牛丼の場合は普通の牛丼が中心。納豆カレーやチーズ牛丼、あいがけカレーなど、トッピングにこだわる方を見たことはまだありませんが、注文の増加ぶりや我々が普段食べるものに対する人気から、近いうちにトッピング盛り盛りの注文をする外国人観光客の方が出てくるのではないかと思ってしまいます。 文/渡辺雅史 イラスト/土屋俊明