V・フォーレン長崎の“あの”高田明社長が描く新スタジアム構想とは?
クラブ創設14年目にして初めてJ1の戦いに挑んでいるV・ファーレン長崎が3日、トランスコスモススタジアム長崎におけるホーム開幕戦で、隣県のサガン鳥栖との「九州ダービー」に臨む。 敵地で行われた2月24日の開幕戦では、同じ昇格組の湘南ベルマーレに1‐2で惜敗した。 しかし、試合終了まで白熱の攻防を展開した戦いぶりに、通信販売大手「ジャパネットたかた」(本社・長崎県佐世保市)の創業者としてお茶の間でもお馴染みで、昨年4月から長崎の代表取締役社長を務め、経営危機から脱出させた高田明氏(69)は手応えを感じている。 「負けて悔しい、ということはありません。強がりでも何でもなく、連携の部分ではすごくよかったというか、新しく加わった選手たちが違和感なく動いていた。ホームでファンやサポーターの方々の声援があれば、サガン鳥栖さんとはいえ、十分に面白い試合をするんじゃないかと思っています」 未知なるJ1の舞台で「冒険」を続けながら、同時進行で異なる次元での戦いにも挑んでいる。県内で人口が最も多い長崎市内における、サッカー専用の新スタジアム建設だ。開幕直前に表面化した構想について、湘南戦を見届けた高田社長は笑顔を浮かべながらこう言及している。 「結果がどうなるか、これはわかりません。非常にハードルが高いですけれども、記事でどんどん書いていただければ。(メディアの)皆さんも我々の応援団だと思っていますので」 新スタジアムの建設構想はJ1開幕へ向けて、先月22日に高田社長が長崎市の田上富久市長を表敬訪問した際に明らかにされた。JR長崎駅の北約500メートルの距離にあり、今月末に閉鎖される三菱長崎造船所幸町工場跡地での建設へ向けて、三菱重工業が公募する事業者に入札したとされている。 世界数80ヶ国で不動産事業を展開する、アメリカのジョーンズラングラサール社の日本法人との共同で応札したのは、高田社長の長男・旭人氏が代表取締役社長を務め、長崎の親会社でもあるジャパネットホールディングス。約7ヘクタールの敷地にスタジアムを中心として、ホテルやマンション、商業施設などを備えた複合施設を建設する青写真が描かれているという。 具体的なプランこそ伏せられているものの、応募そのものが先月16日に締め切られたこともあり、高田社長も「そういうお話をちょっとしてもいいのかな」と表面化させるに至った。 「ジャパネットホールディングスがやろうとしているスタジアム構想は、ビジネスという視点で考えれば、投資としては厳しいです。でも、その(ビジネスの)部分じゃないんですよね。私とジャパネットホールディングス、まあ長男ですけれども、考えていることは一致していますから。 ジャパネットホールディングスがV・ファーレン長崎に抱く思いは、一企業としてじゃないんです。長崎県のなかでV・ファーレン長崎を確かなものにして、サッカーを通して何ができるか、いまの長崎を元気にするにはどうするべきか、ということに本気で取り組む姿だと考えていただければ」