冬場に注意!! 入浴前後の「ヒートショック」 気温差で血圧乱高下 医師が薦める予防策は?
今季一番の寒気が流れ込み、熊本県内は冬本番を迎えている。この時期は入浴前後などに気温の急激な変化で意識を失ったり、心筋梗塞を起こしたりする「ヒートショック」に注意が必要だ。医師は暖房器具の活用や家族での声かけといった対策を呼びかける。 熊本市消防局の管内の熊本市、益城町、西原村では2019~23年の過去5年間、浴室で発生したヒートショックを含む心肺停止で救急搬送された人は計269人に上る。冬場にかけて増加し、5年間の累計は12月が50人と最も多く、1月が41人、2月が38人と高止まりしている。 済生会熊本病院循環器内科医師の坂本知浩上席部長(63)によると、ヒートショックの原因は気温の大きな変化。自律神経の働きで、血圧が急激に上下することで引き起こされる。 特に危険なのは入浴時だ。「脱衣所は寒いので血管が収縮して血圧が上昇し、暖かいお湯に漬かると血管が拡張する。湯船から立ち上がった時には立ちくらみのように血圧が下がり、ジェットコースターのように乱高下する」という。
血圧が上がると心筋梗塞や大動脈解離を発症し、血圧が下がると意識を失って浴槽で溺れたり、頭を打って亡くなったりすることがある。 病院には10月以降、風呂場で意識を失った5人が救急搬送された。風呂場では一人で倒れて発見が遅れやすいため、そのまま亡くなる例が多いという。 特に高齢者のリスクが高いが、中年や若者でも発症する場合がある。「お湯に漬かりながらスマートフォンを見て長風呂をすると血管がさらに拡張する。入浴前の飲酒も血管を広げるためリスクを高める」と忠告する。 具体的な対策として、脱衣所を暖房器具で暖めたり、お湯を張った風呂のふたを開けっ放しにして浴室の温度を上げたりすることがお勧め。お湯の温度は40度前後、漬かる時間は10分以内が望ましいという。「高齢者は浴室がぬくもっていない『一番風呂』は避けた方がいい。入浴中は家族が定期的に声をかけてほしい」と呼びかける。(丸山伸太郎、園田琢磨)