吉野修一郎、スティーブンソンに敗れて以来の再起戦で2回TKO勝ち 今後は海外での試合を希望
プロボクシングの62・5キロ契約8回戦が17日、東京・後楽園ホールで行われた。元日本、東洋太平洋、WBOアジア・パシフィック・ライト級王者の吉野修一郎(32)=三迫=が、フィリピン同級3位のジュレス・ビクトリアーノ(26)=フィリピン=に2回2分52秒TKO勝ち。再起戦を白星で飾った。 1年2カ月ぶりにリングに戻ってきた吉野が格の違いを見せつけた。 「勝ててほっとしている。1回の後半にいいのをもらったので、ちょっと良くなかった。戻ってきて楽しかった」 1回に右アッパーと左フックを被弾したが、2回に左ボディーでビクトリアーノの肋骨(ろっこつ)を折り、連打から右フックでダウンを奪う。立ち上がったビクトリアーノに右オーバーフックでダウンを追加すると、最後は右ストレートでキャンバスに沈めた。 昨年4月に米ニュージャージー州ニューアークで、WBC世界ライト級挑戦者決定戦に臨み、現WBC世界同級王者のシャクル・スティーブンソン(米国)に6回TKO負け。昨年7月後半に2021年から痛みを抱えていた右肘の変形性関節炎などの内視鏡手術を受け、約3カ月間は完全休養。10月後半にジムワークを再開したが、右肘の痛みは今も残っている。「不安はありました」と今後も右肘の痛みと付き合いながら世界王者を目指す。 2015年のプロデビュー戦前からずっとコンビを組んできた元東洋太平洋バンタム級王者の椎野大輝トレーナー(37)が、パーソナルボクシングトレーナーになるために今月いっぱいで三迫ジムを退職するため、この試合が椎野トレーナーとのラストマッチだった。「トレーナーでもあり、兄貴的な存在。プライベートの相談も、ボクシングの相談でもいろいろとアドバイスをくれた。本当に感謝しかない」と恩返しの勝利をプレゼントした。椎野トレーナーは「勝ってくれたんで良かったですけど、怖かった。アッパーと左フックをもらったんで」と安堵(あんど)の笑顔を浮かべた。 吉野はもう日本選手との試合をするつもりはなく、今後は米国や英国やオーストラリアなどの海外での試合を希望している。三迫ジムの三迫貴志会長(50)は「世界ランキング復帰を働きかけていきたいし、本人が希望する海外で、米国でっていうのを模索しながらやっていきたい」と語った。吉野は「大きいことは言えない。頑張ります」とシンプルな言葉に決意を込めた。
興行はFODプレミアムで生配信された。プロ戦績はWBOアジア・パシフィック同級14位の吉野が18戦17勝(13KO)1敗、ビクトリアーノが21戦13勝(10KO)8敗、2016年リオデジャネイロ五輪バンタム級銀メダリストで、世界3階級制覇王者のスティーブンソンが21戦21勝(10KO)。(尾﨑陽介)