出世魚のコノシロ 千葉・船橋の新名産に フライにつみれ…学校給食にも提供
千葉県船橋市が、船橋漁港で水揚げされる「コノシロ」を新たな名産品にしようと奮闘する。同県は漁獲量で全国1位を誇るが、小骨が多く、調理にも手間がかかることから敬遠されがちだ。そこで、地元の漁協などと解決策を探り、新商品を開発。学校給食にもオリジナルメニューを提供し、懸命にPRしている。 コノシロは成長とともに呼び名が変わる出世魚だ。稚魚のときはシンコと呼ばれ、やがて、江戸前寿司(すし)のネタでおなじみのコハダとなる。さらに成長してコノシロとなる。 船橋の海では底引き網漁や巻き網漁で獲れる。農林水産省などの統計調査では令和4年には全国の水揚げ量3034トンのうち、本県は1328トン。特に船橋市は1217トンもあった。 ただ、食用にはあまりなじまない。多くは魚の養殖の飼料用に回されがちだ。 そこで、地元の水産会社は消費量アップに乗り出している。骨まで食べられるように高温高圧をかけて柔らかく調理し、手軽に食べられる「コノシロやわらか煮」を昨年、開発した。漁協直営の直売所「三番瀬みなとや」でも好評だ。 市も力を入れる。今年10月からは市立小学校7校の学校給食にコノシロを使った新メニューが登場した。 今月15日には豆腐などと細かく刻み、揚げた「まさご揚げ」が出された。子供たちが食べやすいようにと試行錯誤を重ね、南蛮漬けや竜田揚げも考案された。 提供校は増え続ける。12月には中学校にも広がる。 市は漁協とタイアップし、ふわふわとした食感のフライや、添加物を全く使わない「つみれ」も開発した。 市にはプロバスケットボールチーム「千葉ジェッツふなばし」の新アリーナが完成し、来年1月にはオールスター戦も行われる。 フライなどは当日、県内外から来場するファンにも販売される予定だ。船橋の〝新定番〟が一気に全国区になると期待される。