「京葉線」は“おいしい稼ぎどころ”のはずが…小手先の「快速復活」だけでは解決しがたい構造的問題
1年足らずでのダイヤ見直し
昨年末からの通勤快速列車の廃止騒動が尾を引いているJR東日本の京葉線。ついに、今年9月1日の改正で、削減したばかりの快速の一部を復活させることが決まった。沿線自治体の強い反発を受けて、1年足らずでのダイヤ見直しという異例の展開になっているが、沿線が求める「快速系列車の復活」だけでニーズに応えられるのか? さらなる改善の余地を考えてみたい。【大宮高史/ライター】 【写真11枚】多扉車にワイドドア、座席収納…鉄道事業者の「混雑対策」
5月30日のJR東日本の発表で、9月1日からダイヤを変更し、快速の運転時間帯が拡大されることが決まった京葉線。昨年秋に通勤快速の廃止と快速の削減を打ち出した時には「私どもの説明不足もあり、沿線の理解を求めていく」と強気だったJR東日本は、いまや“全面降伏”の一歩手前にまで譲歩している。通常は9月末から10月上旬にかけて行われる秋のダイヤ改正を待たずに、9月1日での改正というところも異例だ。 昨秋の快速と通勤快速への“大ナタ”では、主に千葉側終点の蘇我駅周辺や、その先の直通列車が走る内房線・外房線沿線からの抗議の声がクローズアップされた。その声に応える形で、9月からの新ダイヤでは、朝の通勤ラッシュ帯に東京行き快速2本を増発。土休日も上下で快速の運転時間帯を拡大した。 といっても、現行の各駅停車を快速化しただけの列車もあり、トータルの列車本数が大幅に増えた訳ではない。むしろ、小手先の快速復活だけでは解決しがたい構造的な問題はまだ継続している。 京葉線が担う役割は多い。千葉県湾岸部と東京駅を結んでのデイリーな通勤・通学輸送、直通列車を介しての東京都心への速達輸送、そして沿線のレジャー施設への行楽客輸送である。 とりわけ、3つ目のレジャー輸送におけるボリュームゾーンは、東京ディズニーリゾートを抱える舞浜駅から、幕張メッセがある海浜幕張駅までのエリア。幕張メッセでの大規模イベントの来場客、舞浜駅を使っての東京ディズニーリゾート来場客をひとつの路線でさばいている。 おかげで夜の上り(東京)方面での混雑という、他線ではあまり見られない現象が生じている。昨今は両駅以外でも開発が進み、イオンモール幕張新都心の最寄り駅として昨年3月に幕張豊砂駅が開業、同年11月には南船橋駅の海側にららテラスTOKYO-BAYが開業している。今年4月には、南船橋駅最寄りに収容人員最大1万1000人のLaLa arena TOKYO-BAYが完成し、バスケBリーグの試合や音楽イベントでの使用を想定している。