「京葉線」は“おいしい稼ぎどころ”のはずが…小手先の「快速復活」だけでは解決しがたい構造的問題
武蔵野線から流動する層
つまり、休日に京葉線沿線を訪れるレジャー客が増え続けることが予想され、ラッシュ帯とは別のニーズにも応えなければならない。しかも、東京方面だけでなく直通運転する武蔵野線から流動する層も無視できない。 京葉線と線路がつながっている武蔵野線は、西船橋から南下すると線路は二手に分かれ、一方は京葉線東京方面、もう一方は蘇我方面に向かう。蘇我・海浜幕張方面への直通列車も運転されているが、この区間を通ってみると、日頃のニーズに応えきれていないことがわかる。特に総武線各駅停車・東京メトロ東西線・東葉高速線との乗換駅になる西船橋の京葉線ホームは、ラッシュ帯でなくても人でごった返している。 首都圏を、半円を描くように走る武蔵野線は、データイムは1時間に6本が運転され、東行きは半分が東京行き、半分が南船橋行きとなる。この南船橋止まりというのが何とも中途半端である。 南船橋駅は、快速停車駅であるが海浜幕張の3駅手前で、上下線のホームが独立している2面4線構造となっている。そのため、武蔵野線の南船橋止まりの電車が3番線(東京方面)のホームに着くと、乗客(大半がそのまま海浜幕張方面に向かう)は大挙して階段を上り下りし、蘇我・海浜幕張方面のホームに移動しなければならない。 朝夕には海浜幕張行きが多くなるが、南船橋には折り返し用の引き上げ線がないことも相まって、乗客に無駄な負担を強いていないだろうか。 直通列車の本数は少しずつ増発されてきたとはいえ、埼玉・千葉の武蔵野線沿線から海浜幕張へは、この京葉線直通列車しか鉄道はない。それが20分に1本しかないというのは何とも頼りない。武蔵野線自体も越谷レイクタウンの開発などで沿線人口は増えており、京葉線と合わせて抜本的な輸送改善が望まれる時期にきているだろう。 京葉線が1990年3月10日に東京駅まで開業し、全線開業して以降、幕張新都心周辺の鉄道事情はほとんど変わっていない。だがこの間に、幕張と競合する首都圏ベイエリアの交通事情は大きく変わった。 東京の臨海副都心は1990年代からりんかい線とゆりかもめが整備され、2020年代には東京五輪のレガシーとして新規にイベント施設も開業、都営バス路線や東京BRTでバスの系統も充実してきている。