鈴木亮平『シティーハンター』インタビュー。「令和の観客」に愛されるためにアップデートしたこと
北条司による人気漫画を実写化したNetflixのオリジナル映画『シティーハンター』の配信が始まり、Netflix週間グローバルTOP10で初登場1位を獲得するなど反響を呼んでいる。主人公・冴羽獠を務めたのは、本作の熱烈なファンでもあり、長年にわたって冴羽獠を演じることを望んでいたという鈴木亮平だ。 【画像】『シティーハンター』配信後初インタビューとなる鈴木亮平 配信後初となるインタビューで、並々ならぬ思いを込めた本作に参加した感想を聞いた。
格好良さとお笑いが入れ替わる二面性が「シティーハンター」の魅力
―まずは実写版『シティーハンター』の世界1位獲得おめでとうございます。大ヒットスタートを果たしたいまの気持ちはいかがですか? 鈴木亮平(以下、鈴木):ほっとした、というのが正直なところですね。大好きな原作ということだけあり、お預かりするプレッシャーがいままでのどんな作品よりも大きかったので、反響がしっかりあって安心しました。 だからまだ嬉しいとかって感情が追いついていないんですよね。本当にたくさんの人に関わっていただいて、僕のわがままを通しながらもやらせていただいた作品なので、まずはきちんとみんなに観てもらえて良かったという気持ちです。 ―鈴木さんは昔から原作のファンで、俳優を始めたころから冴羽獠を演じたいと思っていたと伺いました。もともと「シティーハンター」とはどのように出会い、惹かれていったんでしょうか? 鈴木:世代的にはリアルタイムではないんですが、初めて「シティーハンター」に触れたのは小学校高学年のときの再放送アニメでした。そこから漫画を集めて、ドラマCDや小説版を買ったりして。惹かれた一番の理由はそのギャップでしょうね。今回の映画でもこだわったポイントなんですが、格好良さとお笑いの波がリズム良く入れ替わっていく二面性が「シティーハンター」の大きな魅力なんだと思います。ギャップがあるから、格好良さもお笑いも引き立っているんですよね。
「30年間くらい冴羽獠とともに暮らしてきた」
―長年憧れだった冴羽獠役のオファーをもらった時の心境はいかがでしたか? 鈴木:オファーがあるまでは「いつか演じられたら良いな」と思っていたんですが、それが現実になった途端にその重みを感じました。それまで僕のなかでイメージしていた実写化のビジョンもあったんですが、実際に携わるとなると世界中の人に作品を届けるためにはどうすれば良いのかといった具体的なことを考えていかなくてはいけませんよね。 そのために大切にしたのは、自分が冴羽獠を演じるということだけではなく「シティーハンター」の世界観をどう作品に落とし込んでいくかということです。俳優として演じるだけでは世界観の構築はできないので、演技以外にも積極的に関わって、いつもより責任を持って届けなきゃいけないなと強く思いました。 ―好評を博している今回の『シティーハンター』ですが、作品を牽引していたのは鈴木さんが演じる冴羽獠の解像度の高さだと思います。実写化にあたり、獠のキャラクターをどのように作りあげたんでしょうか。 鈴木:映画のストーリーは原作の序盤部分であることは決まっていたので、そうなるとどういう冴羽獠になるかなと考えたんですが、じつはつくり込み自体はほとんどしていなくて。というのも僕は「シティーハンター」のファンになったときから30年間くらい冴羽獠とともに暮らしてきましたし、自分が冴羽獠を演じるなら、どんな服を着て、どういう髪型で、どういう台詞回しをするかな、というのはどこかでずっと意識してきたので、今回あらためて役をつくり込んだという印象はあまりないんですよね。 喋り方や声に関しても、僕の頭にはもう神谷明さんが刷り込まれているんですよ。「か~お~り~!」って言うときはダミ声になるし、「もっこりちゃん!」って言う時はトーンが上がりますし。モノマネにはしたくなかったんですが、同じような声の出し方をすると自然に似るんですよね。視聴者の集中を妨げないよう「真似」はしないようにしようと思っていたんですけど、寄せようとしていなくても演じたら神谷明さんに近い声が自分なりに出ちゃうので、それはもう止めなくていいかなと。 ―ヘアスタイルも見事ですよね。本作のポスターを見たときは漫画やアニメと少し異なるなと思ったのですが、実際動いている姿を観たら冴羽獠の髪型としてぴったりハマっていて驚きました。 鈴木:今回の役をもらう前に冴羽獠の髪型をメイクさんにつくってもらったことがあるんですけど、僕の骨格や耳の形で原作そのままの髪型にするとあんまり冴羽獠に似ないんですよ。実物の「冴羽獠っぽさ」ってどういうのだろうと考えた末にたどり着いたのがあの髪型で、結果として、なんとなく現代の冴羽獠感が出たんです。不思議ですよね。