4年目・22歳永野引退…親族への馬券予想行為判明 JRAが本人からの騎手免許取り消し申請を受理
JRAは13日、永野猛蔵(22)の騎手免許を同日付で取り消したと発表した。本人からの取り消し申請(引退届)を受理した。永野は調整ルーム内での通信機器(スマートフォン)の不適切使用により、10月8日から裁定委員会の議定があるまで騎乗停止処分となっていた。 永野は事情聴取の過程で、過去の骨折休養期間中に1度、親族への馬券予想行為を行っていたことも発覚した。対象の馬が自身が所属する伊藤圭三厩舎の管理馬ではなく、自身の騎乗経験もなかったため、JRAは競馬の公正確保には抵触しないとしている。美浦トレセンの赤井誠公正室長は「馬券の購入、譲り受けなどの競馬法に抵触するものではなかったが、(JRAの)順守事項に抵触した」と説明した。 また、調整ルーム内で23年5月から1年4カ月間にわたってスマホを継続使用していたことも判明。同騎手は聴取段階から引退の意向を示したが、両件を重大な違反行為と見なした公正室は、免許取り消し申請があっても裁定委員会の議定が出るまでは受理しない方針だった。13日に裁定委が開かれ、永野に対し12カ月間の騎乗停止処分を提示。裁定委終了後に本人が引退届を提出し受理された。JRA通算111勝、デビュー4年目のホープは最悪の結末でステッキを置くことになった。 赤井室長は「現時点でできる調査は全て終了した」と説明。「(農水省の)競馬監督課からも強い指導を受けており、通信機器に関しての運用体制については今後、厳しい方向に進んでいくと思う」とした。藤田菜七子元騎手の電撃引退を含め、次々と発覚するスマホ絡みの不祥事。監督責任のあるJRA、ルールを守れない若手騎手に厳しい視線が向けられている。 ◇永野 猛蔵(ながの・たけぞう)2002年(平14)9月8日生まれ、新潟県出身の22歳。21年3月に美浦・伊藤圭厩舎所属でデビューし、同3月6日の中山3R(タマモヒップホップ)で初騎乗初勝利。JRA通算2501戦111勝。1メートル61、45キロ。 ◆裁定委員会 JRAは13日、「松若風馬の道路交通法違反事案」と「永野猛蔵および小林勝太による開催日の調整ルームにおける通信機器使用事案」に関する第1回裁定委員会を開催した。今後、行政手続法に基づき各騎手(永野は騎手免許取り消し)に弁明の機会を付与した上で第2回裁定委員会において最終的な処分が決まる。