北朝鮮の“資格”で問題提起 「国連」除名の可能性はあるのか
これに鑑みると、北朝鮮の場合、国連から「除名」される可能性は限りなく低いとみられます。相次ぐ核実験や弾道ミサイル発射を受けて、これまで北朝鮮を擁護してきた中国も批判的な姿勢をみせています。しかし、すでに国際的に孤立している北朝鮮に、「除名」だけで行動を改めさせることは、ほとんど期待できません。そのため、関係国も必要以上に北朝鮮を追い詰めて、さらなる挑発行動をとらせる口実を与えることは避けるとみられます。 韓国政府による北朝鮮「除名」に関する言及は、その問題提起そのものがもつシンボリックな効果以上のものはないとみられるのです。
------------------------------------------------------ ■六辻彰二(むつじ・しょうじ) 国際政治学者。博士(国際関係)。アフリカをメインフィールドに、幅広く国際政治を分析。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、東京女子大学などで教鞭をとる。著書に『世界の独裁者』(幻冬社)、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、『対立からわかる! 最新世界情勢』(成美堂出版)。その他、論文多数。Yahoo! ニュース個人オーサー。個人ウェブサイト