「父が孤独死した“10LDKの大豪邸”」に娘たちが取材カメラを入れた理由 “遺体の状態”によって、死の受け入れ方は変わる
遠方の実家に1人で住む60代の父親と3日間連絡が取れない。駆けつけた娘である姉妹が目にしたのは、寝室のいすにもたれかかるようにして倒れていた父親の姿だった。 本連載では、さまざまな事情を抱え「ゴミ屋敷」となってしまった家に暮らす人たちの“孤独”と、片付けの先に見いだした“希望”に焦点をあてる。 YouTube「イーブイ片付けチャンネル」で多くの事例を配信するゴミ屋敷・不用品回収の専門業者「イーブイ」(大阪府)。代表の二見文直氏が、普段は口にすることのない「孤独死」の現場の“リアル”を明かしてくれた。 【写真】「ここで父が亡くなったんです」父が遺した“痕跡”と、あまりに大きすぎる家の各部屋の様子【ビフォーアフターを見る】
動画:孤独死現場での遺品整理と生前整理「家族が語る緊迫の瞬間」 ■玄関の内側からチェーンがかかっていた 「お父さんの家の洗濯物が3日間、干しっぱなしです。雨戸も閉めたままです。電話は出ないし、インターホンを押しても反応がありません。どこか長期でお出かけされていますか?」 次女のスマホにかかってきた電話は、父親と一緒に地域の民生委員をしているという人からだった。2024年6月のことである。 父親との関係は良好で、数日前にも連絡を取り合っている。娘たちが知る限り、長期でどこかに出かけ、家を空けている可能性はまず考えられない。2人は胸騒ぎが止まらなかった。
電話をもらったときは「すぐに行かなくちゃ」と思ったが、5分も経つと次女の足はすくんでしまった。3日間も連絡が取れていないのだ。脳裏に浮かぶのは急性の病に倒れて苦しんでいる父親ではなく、すでに息を引き取った後の父親である。 【写真】「ここで父が亡くなったんです」父が遺した痕跡と、あまりに大きすぎる家の各部屋の様子(45枚) パニックになりそうだったので、父親と別居していた母に電話をして、一緒についてきてもらうことにした。
合鍵で玄関の扉を開けると中からチェーンがかけられていた。つまり、父親は部屋の中にいることになるが、いくら声をかけても返事はない。やはり中で亡くなっているのか……。 間もなくして到着したレスキュー隊がチェーンを破って室内に突入すると、父親は寝室のいすにもたれかかるようにして息絶えていた。 その後の死亡診断書によれば、父親が亡くなったのは発見の3日前だったという。発見当時、現場はどんな雰囲気だったのか。居合わせた次女に聞いた。