【兵庫県、はずかしい】斎藤元彦・兵庫県知事の変革が生み出した「深刻なひずみ」と「異常なストレス」
斎藤元彦知事(46)の数々の疑惑が県職員の告発によって露呈し、大混乱に陥っている兵庫県。当の知事は「全力で県政を前に進めるのが私なりの責任の取り方だ」と強固な姿勢を崩さない。県政の中核を担った幹部達は去り、残務やクレーム処理に追われて県の職員たちは疲弊しきっている。 【写真】「死をもって抗議」元局長が斎藤知事の疑惑を告発した「衝撃文書」 一番の問題は、告発文で暴かれた知事の「おねだり体質」や「パワハラ疑惑」ではなく、知事や県の対応を理由に職員が命を絶ち、県政が停滞している事実にある。県政はいま、どんな状態なのか。数々の証言から検証していく。 職員が日々直面しているのは、未だ鳴り止まない知事への抗議や苦情の電話対応だ。応対するのは広報広聴課の担当職員だが、抗議や苦情は一日に200件を超えることもあるという。県関係者は「あまりに膨大なので他部署が応援で対応することもあります」と言う。 「ほぼ毎日、朝から晩まで電話が鳴りっぱなし。その3分の1が『斎藤知事を電話口に出せ』という内容です。あまりのストレスに『気が狂いそうだ』と職員たちは嘆いています。百条委員会に反対した『維新の会へ繋げ』という電話も少なくない。広報広聴課では対応できないので議会事務局が受け、会派控室で兵庫維新の幹部が応対することもありますが、内容は『斎藤知事はなぜ辞めないのか』というものがほとんど」 斎藤知事は「改革派」をうたっており、昨年に新聞各社の取材では「知事選で掲げた公約の9割以上に着手・達成できた」と自画自賛している。東京大学を卒業し総務省へ入省したという経歴からも政策通というイメージがあるが、県内では疑問の声があがっている。 「公約173項目のうち171項目を達成・着手したと述べた斎藤知事ですが、公約集を自身のHPから削除しているので、本当に達成できたのか誰も検証できない状態です。もはや、言ったもん勝ち状態です。コロナ禍の『重症病床の倍増』や『全てのワクチンの医療機関での接種可』といった公約もすぐに断念した過去がある。そんな隠蔽体質が批判を集めていますね」(県職員) 目玉政策であった「県庁の建て直し・移転構想」「リモートワークで出勤率を4割に引き下げる」施策は職員には不評。むしろ反発が目立っている。知事肝いりの県立大の授業料無償化などを含む若者やZ世代への施策も、担当していた小橋浩一理事と井ノ本知明・総務部長が既に現場を離れてしまった。 「幹部2人に代わり、技術畑出身の服部洋平副知事が説明に当たっていました。肝いり政策が停滞しているのに『代わりの人間がいるから問題ない』と開き直る知事は、職員や県民をバカにしているとしか思えない。そもそも、兵庫県は人口減など深刻な課題が山積しており、『優先順位が違うのでは』という声もある」(委員会の参加者) 県政は混乱が続いており、県内の市町村からもその信を問う声があがっている。兵庫県市長会の会長を務める酒井隆明・丹波篠山市長は臨時会見を開き、「県政は市ではできない大きなまちづくりをする大切な役割があり、それには知事の指導力が必要」と言及している。地元財界からも厳しい意見が飛んでいる状況だ。神戸市内のさる企業の代表が言う。 「若者の県内企業への就職率は年々減少し、県外への人材の流出が止まらない。兵庫は製造業が基幹事業なのに、知事はスタートアップ企業やIT企業の誘致に注力すると言っており、効果は上がっていない。『新しいもの好き』の知事の姿勢を地元財界はよく思っておらず、それこそ就任1年目から疑問の声が出ていました」 今年度の県の一般採用試験では筆記試験の辞退者が262名を数え、辞退率は4割に及んだことを読売新聞が報じている。前出の県関係者は、ただただ嘆いた。 「目下、最大の懸念事項は予算編成です。斎藤知事が予算を決めることが『納得できない』という声が職員から続出しています。特に管理職以上にその傾向が強い。主要な幹部が去り、いつまでもつかわからない知事のもとで働くわけですから、職員たちが県政の未来に不安を抱くのは無理もないこと。若手からも『知事が辞めないと県政は進まない』という声まで出始める末期状態です」 斎藤知事は就任当初、自身のSNS上で「兵庫県、はずかしい」という声が子供たちから発せられていることを紹介。「この状態を必ず変える」と力強く綴っていた。 兵庫県は皮肉にも変わった。だが、最も「はずかしい」思いをしているのが県を支える職員たちであることを、当の知事はどう受け止めているのだろうか。
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