【毎日書評】AIにはできないこと、人間だからできることを伸ばせ。その理由は?
AIがまだ苦手とする「人間力」とはなにか
だからこそ、これまで以上に人間本来の能力である創造性や状況認識能力、共感力、感性、そして人とのコミュニケーションといった社会性を高めることが重要だと著者は訴えるのです。 重要なポイントは、それらは現在のAIがまだまだ苦手とする領域であること。 イノベーションを生み出すためのアイデアの種同士を繋ぐことでの新たな価値の創造は人にしかできないし、現在のAIは膨大な知識が詰め込まれているものの、五感を通してその場の状況を理解しての判断ができるわけでもない。社会性は人が生きるための根幹であり、社会性を持つアリにせよ魚にせよ、お互いが協調することで生存し続けてきた。(121ページより) つまり必要なのは、お互いが自律性を持ち、自ら能動的に行動できる“自立行動主体”であること。そもそも生命とは、そのようなシステムでもあったはずです。 一方、現在のAIはまだまだ道具の域を超えていません。高い自律性を持つには至っていないため、人と足並みをそろえて豊かな社会性を構築する相手とはなり得ないわけです。そう考えると、自律性を備えた人間だからこそできること、すべきことの輪郭が明確になっていくことでしょう。 「AIができること」「まだ人にしかできないこと」「どのような課題があるか」「私たちが考えるべきこと」など、訴えかけたいことのほぼすべてを著者はここで言及しているそうです。AIについての知識を持たない人をも納得させる説得力を感じさせるのは、そのせいなのかもしれません。 >>Kindle unlimited、2万冊以上が楽しめる読み放題を体験! Source: 角川新書
印南敦史